いま注目される「和紅茶」とは?
日本の風土が育んだ優しい魅力
「最近よく聞く『和紅茶』って、いったい何者?」
「紅茶なのに『和』って、どっちなんだい!」
そんな風に思ったそこのあなた、大正解です。
和紅茶(わこうちゃ)とは、日本の大地で育まれた茶葉を使い、日本国内で紅茶に加工されたお茶のこと。
「国産紅茶」や「地紅茶(じこうちゃ)」とも呼ばれ、じわじわとファンを増やしている、今大注目の存在なのです。
海外の紅茶とはひと味違う、日本の水や食文化、そして私たちの味覚にすっと馴染む奥ゆかしい味わいが特徴です。
紅茶特有の渋みが少し苦手…という方にも「これならゴクゴク飲める!」と大好評を博しています。
海外の紅茶との違いは?

味わい・香りの特徴
海外の紅茶が、しっかりとしたコクと渋み、華やかな香りで自己主張する「情熱的な女王様」タイプだとすれば…
和紅茶は「あらあら、どうぞお先に」と一歩引いてくれる「おしとやかな大和撫子」タイプ。
その違いを表で見てみましょう。
| 和紅茶 | 海外産紅茶(アッサム、ダージリンなど) | |
| 味わい | 渋みが少なく、まろやか。優しい甘みや旨みがある。 | しっかりとしたコクと、心地よい渋みがある。 |
| 香り | ほのかで繊細、甘い香り。 | 華やかで個性的、フルーティーな香りなど多様。 |
| 水色(すいしょく) | 透明感のある、優しい赤色やオレンジ色。 | 深い赤褐色や明るいオレンジ色など様々。 |
| おすすめの飲み方 | まずはストレートで、繊細な味わいを楽しむのが王道。 | ストレートのほか、ミルクやレモンとの相性も抜群。 |
| 相性の良い食べ物 | 和菓子や和食、素材の味を活かしたスイーツ。 | バターリッチなケーキやスコーン、濃厚な洋菓子。 |
この個性豊かな違いは、主に茶葉の品種や日本の気候風土から生まれます。
多くの和紅茶は、実は緑茶用として馴染み深い品種から作られており、それが海外の紅茶にはない、独特の優しい風味を醸し出しているのです。
緑茶と同じ茶葉から作られる?
「え、緑茶と同じ葉っぱからできてるの!?」と驚かれたかもしれません。
そう、何を隠そう、和紅茶も緑茶も、もとは同じ「チャノキ(学名:カメリア・シネンシス)」というツバキ科の植物の葉から作られています。
では、なぜ片や緑色、片や赤褐色のお茶になるのでしょうか?
その運命を分けるのが「発酵(酸化)」という製造工程です。
まさに、茶葉のポテンシャルを最大限に引き出す職人技と言えるでしょう。
奥深い和紅茶の世界!
選ぶのが楽しくなる3つのポイント
一口に「和紅茶」と言っても、産地や品種によってその個性は千差万別。
まるでご当地アイドルのように、各地の作り手たちが切磋琢琢し、個性豊かな和紅茶を生み出しています。
ここでは、あなたにぴったりの「推し和紅茶」を見つけるための3つのポイントをご紹介します。
- 産地で選ぶ
- 品種で選ぶ
- 味わいのタイプで選ぶ
ポイント1:産地で選ぶ
お茶は土地の気候や土壌が味わいに色濃く反映される農産物。まずは気になる産地から、あなたの和紅茶探しの旅を始めてみませんか?
静岡県|日本一の茶どころの多様性
緑茶生産量日本一を誇る静岡県は、和紅茶の生産も非常に盛んです。
長いお茶の歴史で培われた高度な技術と温暖な気候を活かし、緑茶品種から紅茶専用品種まで、多種多様な和紅茶が作られています。
味わいのバリエーションが豊富で、まさに「和紅茶のデパート」。
初心者からこだわり派まで、きっとお気に入りの一品が見つかるはずです。
鹿児島県|南国育ちの豊かな風味
静岡県とトップを争うお茶の大産地、鹿児島県。
南国の太陽をたっぷり浴びて育った茶葉から作られる和紅茶は、甘みが強く、トロピカルフルーツを思わせる豊かな香りが特徴です。
日本茶アドバイザーパトラッシュ♂その明るく華やかな風味は、まるで南国育ちの陽気なアーティストのよう。元気をもらいたい時におすすめの和紅茶です。
九州(佐賀・熊本など)|個性豊かなクラフトティー
鹿児島以外にも、佐賀県の「嬉野紅茶」や熊本県、福岡県の八女地方など、九州各地で個性的な和紅茶が作られています。
特に小規模な生産者が多く、作り手の哲学やこだわりがダイレクトに伝わる「クラフトティー」が豊富なのが魅力。
ポイント2:品種で選ぶ
お米に「コシヒカリ」や「あきたこまち」があるように、お茶にもたくさんの品種が存在します。
代表的な品種の個性を知れば、和紅茶選びがもっと楽しく、もっと深くなりますよ。
べにふうき|紅茶らしいしっかりとした味わい
「べにふうき」は、日本で本格的な紅茶を作るために開発された、いわば紅茶界のエリート品種です。
しっかりとしたコクと心地よい渋み、そして花や熟した果実のような甘い香りが特徴で、ミルクティーにしても風味が負けません。
「やっぱり紅茶はこうでなくっちゃ!」という、紅茶好きも納得の王道の味わいです。
やぶきた|渋みが少なく優しい甘み
日本茶の栽培面積の約7割を占める代表品種「やぶきた」。
この品種から作られる和紅茶は、渋みが極めて少なく、日本茶に通じる旨みや優しい甘みが感じられます。
まさに「和」の紅茶を象徴するような、心安らぐホッとする味わいが魅力。和食や繊細な味わいの和菓子との相性は格別です。
ポイント3:味わいのタイプで選ぶ
和紅茶は、その味わいの特徴から3のタイプに分類されることがあります。
和紅茶の3つの分類
和紅茶は、国産紅茶専門家である岡本啓氏によって、その特性から大きく3つのタイプに分類されているそうです。
滋納(じな)|旨みと優しい味わい
和紅茶の主要な分類の一つで、主に緑茶品種を発酵させて作られ、渋みが少なく優しい味わいが特徴です。和食や和菓子との相性が良く、初めて和紅茶を飲む方にもおすすめされています。
主に「やぶきた」などの緑茶品種から作られる、和紅茶のスタンダードなタイプです。
その名の通り、滋味深く、落ち着いた甘みと旨みが体にじんわりと染み渡ります。
日本人好みの優しい味わいは、和紅茶が初めての方や、食事に合わせる一杯としても最適です。
清廉(せいれん)|華やかな香り
紅茶用品種「べにふうき」などから作られる、ダージリンなどを思わせる華やかでフルーティーな香りが特徴のタイプです。
発酵をやや浅めに仕上げることで、爽やかで抜けの良い香りを引き出しています。
気分をリフレッシュしたい時や、紅茶の香りをじっくりと楽しみたい午後のティータイムにぴったり。
ぜひストレートでその香り高さを堪能してください。
望蘭(ぼうらん)
インドのアッサムティーやスリランカのセイロンティーを目指して作られ、濃厚で色鮮やかな味わいが特徴です。
ミルクティーにも向いています。



望蘭に関しては、わざわざ和紅茶を選ばず、インド、スリランカ、中国の紅茶を選んだ方が、特徴的な味わいを楽しめると思います。
和紅茶の魅力を引き出す 美味しい淹れ方の基本
せっかくの和紅茶、どうせなら一番美味しい状態で味わいたいですよね。
でも、ご安心を。いくつかの基本さえ押さえれば、誰でも簡単にその魅力を最大限に引き出せます。
難しく考えず、気軽にトライしてみましょう。
ホットティーの淹れ方(1杯分)
和紅茶の優しい香りと甘みを存分に楽しむなら、まずは基本のホットティーから。
- 和紅茶の茶葉:3g(ティースプーン山盛り1杯が目安)
- お湯:150ml〜180ml
- ティーポット、ティーカップ
まずはティーポットとカップに熱湯を注ぎ、全体をしっかりと温めておきます。準備ができたらお湯は捨ててください。この一手間で、紅茶が冷めにくくなり、香りが立ちやすくなります。
温めたティーポットに茶葉を入れます。
沸かしたての新鮮なお湯(98℃〜100℃)を、少し高い位置から勢いよく注ぎ入れます。これにより茶葉がポットの中で踊り(ジャンピング)、美味しさの成分が効率よく抽出されます。
すぐにフタをして、2〜3分じっくり蒸らします。繊細な香りを楽しみたいなら2分、しっかりした味わいが好きなら3分など、お好みで調整するのがおすすめです。
茶こしで茶葉をこしながら、カップに注ぎます。最後の一滴は「ゴールデンドロップ」と呼ばれる美味しさが凝縮された部分。一滴残らず注ぎ切りましょう。
水出し・アイスティーの作り方
渋みが少なくすっきりとした和紅茶は、水出しにも最適です。
熱を使わないため、カフェインの抽出量が抑えられ、甘みが際立つのが特徴。ゴクゴク飲める爽やかな味わいは、暑い季節にぴったりです。
- 和紅茶のティーバッグ:2個(または茶葉5〜6g)
- 水:500ml
- フタ付きの容器(ボトルやポット)
フタ付きの清潔な容器に、ティーバッグ(またはお茶パックに入れた茶葉)と水を入れます。
フタをして、そのまま冷蔵庫へ。4時間から一晩(8時間程度)かけて、じっくりと旨みを引き出します。
時間が経ったら、ティーバッグや茶葉をそっと取り出して完成です。雑味が出ないよう、強く振ったり絞ったりしないのが美味しく作るコツです。
AFTERWORD
あなただけのお気に入りを見つけて、和紅茶を楽しもう
渋みが少なく、優しい甘みと香りが魅力の和紅茶。
日本の風土が育んだその味わいは、私たちの日常にそっと寄り添い、ホッと一息つく時間にささやかな彩りを与えてくれます。
産地や品種、味わいのタイプなど、知れば知るほど選ぶ楽しみが無限に広がるのも和紅茶の面白いところ。
この記事を参考に、まずは「これ、気になる!」と思った一杯から試してみてはいかがでしょうか。
きっと、あなただけの「推し和紅茶」が見つかり、日々のティータイムがもっと豊かになるはずです。
さあ、奥深くて美味しい和紅茶の世界へ、ようこそ!


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