【建水】:建水とは?茶道での役割・種類・選び方とお手入れガイド

建水記事のアイキャッチ
スポンサーリンク
スポンサーリンク
目次

茶道の隠れた必需品「建水」とは?まず知りたい基本の「き」

茶道の世界へようこそ!

美しい抹茶茶碗、繊細な和菓子、そして心地よい茶筅の音…魅力的な道具たちに心躍らせている方も多いのではないでしょうか。

しかし、そんな華やかなスターたちの陰で、お茶会をクールに支える名脇役がいることをご存知ですか?

その名も「建水(けんすい)」。

「けんすい?あの、公園にある鉄棒でやるやつ…?」と思ったあなた、ご安心を。

茶道ビギナーなら誰もが一度は通る道です。

この記事では、そんな茶道の隠れた必需品であり、知れば知るほど愛着が湧く「建水」の基本から選び方、お手入れまで、徹底的に解説します!

建水の役割は「お湯や水を捨てる器」

建水の役割は、至ってシンプル。

ずばり「お湯や水を捨てるための器」です。

具体的には、お点前(お茶を点てる一連の作法)の中で、茶碗を温めたり清めたりしたお湯や水を捨てるために使われます。

お客様の前で亭主(お茶を点てる人)が何度も席を立って台所へ…なんて、ちょっと格好がつかないですよね。

建水があるおかげで、亭主は座ったまま、流れるような美しい所作を中断することなくお点前を進めることができるのです。

水をこぼす器であることから、親しみを込めてこぼし」とも呼ばれています

茶道における建水の意味と重要性

実は、建水はお点前で使う道具の中で「最も格が低い」とされています。

そのため、お客様からは見えにくい亭主の膝前に置かれ、茶会の記録である「会記(かいき)」にも一番最後に記される、なんとも謙虚な存在です。

しかし、その役割は絶大。

お点前とは、お客様に最高の一服を味わっていただくための、清らかで神聖な儀式です。

その中で、使い終わったお湯という「陰」の部分を一手に引き受けるのが建水なのです。

日本茶アドバイザーパトラッシュ♂

例えるなら、どんなにお洒落なスーツを着こなしていても、靴が泥だらけでは台無しですよね。建水は、まさにその「靴」のような存在。主役である茶碗や茶入を引き立て、お点前全体の品格を足元から支える、見えない部分へのこだわりとも言えます。

この謙虚な名脇役にまで心を配ることで、お茶の時間はより深く、豊かなものになるのです。

初心者でも安心!建水の基本的な使い方(作法)

「役割はわかったけど、実際にどう使うの?」という初心者の方のために、建水の基本的な使い方を解説します。

最初は少し緊張するかもしれませんが、ポイントさえ押さえれば大丈夫。

あなたもスマートに建水を使いこなせるようになります!

お点前の流れ:いつ、どうやってお湯を捨てるのか

建水が最も活躍するのは、お点前の序盤です。

簡単3ステップ
STEP
茶碗を温める

まず、茶碗にお湯を注ぎ、茶筅(ちゃせん)の穂先を清め、しなやかにします(これを「茶筅通し」といいます)。

STEP
お湯を建水に捨てる

 茶筅通しで使ったお湯を、建水に捨てます。

STEP
茶巾で拭く

お湯を捨てて空になった茶碗を、茶巾(ちゃきん)という麻布で拭き清めます。

日本茶アドバイザーパトラッシュ♂

この一連の流れで、茶碗は温められ、清められ、美味しいお茶を点てる準備が整います。

                  【ワンポイント・アドバイス】
お湯を建水に捨てる際は、茶碗が建水の縁に当たって「カチャン!」と音が鳴らないように、少し上から静かに捨てるのが美しい所作のコツです。焦らず、落ち着いて行いましょう。

蓋置との関係性も知っておこう

建水には「蓋置(ふたおき)」という、切っても切れない相棒がいます。

蓋置は、その名の通り、お湯を沸かす釜の蓋や、お湯を汲む柄杓(ひしゃく)を置くための小さな道具です。

建水と蓋置を使う流れ
STEP
お点前が始まる時、亭主は左手に建水を持って席に入ります。この時、

この時に、建水の中に蓋置を入れて運びます。

STEP
そして席に着くと、まず建水から蓋置を取り出して所定の位置にセット。
STEP
お点前が終わると、再び蓋置を建水に戻して一緒に退席します。
日本茶アドバイザーパトラッシュ♂

こんな感じで、出勤から退勤までを共にする、仲良しコンビのような存在です。

素材や形で変わる!建水の種類を知ろう

「建水」と一言でいっても、その世界は実に奥深く、様々な素材や形があります。

ここでは代表的な種類をご紹介。あなたの「推し建水」を見つける旅に出かけましょう!

材質による違い(唐銅、陶磁器、木地など)

建水の材質は、大きく分けて「金属」「陶磁器」「木地(木や竹)」の3つに分類され、それぞれに異なる魅力があります。

唐銅(からかね)の建水

銅を主成分とした合金で作られた、シャープで格調高い雰囲気が魅力の建水です。

もともと建水はこの唐銅が基本とされていました。

金属ならではの重厚感がありますが、熱伝導率が高いため、熱いお湯を捨てると本体も熱くなりやすいという、ちょっとアツい一面も持っています。

陶磁器の建水

萩焼、織部焼、信楽焼など、全国各地の焼き物の特色が楽しめる、温かみのある風合いが魅力です。

デザインのバリエーションが非常に豊富で、自分の好みに合わせて選ぶ楽しさがあります。

金属製に比べて熱が伝わりにくいため、初心者でも扱いやすいのが嬉しいポイントです。

木地(きじ)の建水

杉や檜などを曲げて作られた「曲物(まげもの)」の建水です。

ナチュラルで清々しい木の風合いが、茶室の空間に柔らかな印象を与えます。

千利休が好んだとされ、格の高いお点前にも用いられます。使う前に濡らした布で拭いて乾燥を防ぐなど、少し手がかかる点も、道具への愛着を深めてくれる要素です。

形による違い(七種建水など)

建水には特に決まった形はありませんが、古くから伝わる代表的な形として「七種建水(ななしゅけんすい)」が知られています。

種類特徴名前の由来など
大脇差(おおわきざし)やや細長い筒形武士が腰に差す脇差のように、いつも傍らに置かれたことから。
差替(さしかえ)大脇差を少し小さくした形利休所持の楽焼のものがあったとされます。
棒の先(ぼうのさき)円筒形で底に丸みがある駕籠(かご)の担ぎ棒の先端金具の形に似ていることから。
鉄盥(かなだらい)浅くて低い平たい形托鉢僧が使う鉢が由来とも。「平建水」とも呼ばれます。
槍の鞘(やりのさや)上部が少し開いた円筒形槍の穂先にかぶせる鞘の形から。
瓢箪(ひょうたん)胴がくびれた、ひょうたんの形その名の通り、瓢箪の形を模しています。
餌畚(えふご)袋状で口が大きく開いた形鷹匠が使う餌入れの袋の形に似ていることから。
日本茶アドバイザーパトラッシュ♂

「脇差」や「槍の鞘」など、武士の道具に由来する名称が多いのは、茶道が武家社会で発展した歴史を物語っており、非常に興味深いですね。

初心者におすすめの建水の選び方

「種類が多すぎて、どれを選べばいいか分からない!」そんな茶道ビギナーのために、最初の一個に最適な建水の選び方と、購入場所、価格の相場についてご紹介します。

最初の一個におすすめの素材と形

初心者の方の「マイ建水」として、まずおすすめしたいのは陶磁器製で、オーソドックスな筒形や碗形の建水です。

オススメする3つの理由
  • 扱いやすさ:陶磁器は金属ほど熱くならず、木地のように特別なお手入れも必要ないので、気兼ねなく使えます。
  • 安定感:筒形や碗形は重心が低く安定感があるため、お湯を捨てる際に倒れにくいのが大きなメリットです。
  • デザインの豊富さ:自分の好きな色や柄を選べるので、お稽古のモチベーションアップにも繋がります。

【選び方のコツ】:お気に入りの抹茶茶碗があるなら、あえて違う色やテイストの建水を選ぶのもおすすめです。お互いの個性が引き立ち、道具の「取り合わせ」の妙を楽しむ第一歩になります。

どこで買える?値段の相場は?

建水は、主に以下のような場所で購入できます。

  • 茶道具専門店:品揃えが豊富で、お店の方に相談しながら選べます。実物を見て、触って選べるのが最大のメリットです。
  • 百貨店の茶道具売り場:気軽に立ち寄ることができ、初心者向けのセットなどが販売されていることもあります。
  • オンラインショップ:多くの種類を比較検討でき、価格も様々です。実店舗が近くにない場合に便利ですが、サイズ感はしっかり確認しましょう。

価格は素材や作家によって幅がありますが、お稽古用の陶磁器製であれば、3,000円~8,000円程度が一般的な相場です。まずはこの価格帯からお気に入りの一つを見つけ、お茶に親しむ中で、いずれ特別な「一生もの」の建水を探すのも素敵な楽しみ方です。

大切な道具を長く使うために|建水のお手入れと保管方法

お気に入りの建水と長く付き合っていくためには、日頃のお手入れが不可欠です。素材に合わせた正しいお手入れで、大切な道具をいつまでも美しく保ちましょう。

素材別!正しいお手入れのポイント

使用後は、中に溜まったお湯や水を捨て、きれいに洗ってから十分に乾かすのがすべての素材に共通する基本です。

陶磁器のお手入れポイント

  • OK:柔らかいスポンジと中性洗剤で優しく洗います。
  • NG:金たわしなど硬いもので擦ると傷の原因になります。

ポイント:洗った後は、風通しの良い場所でしっかりと自然乾燥させましょう。

唐銅(金属)のお手入れポイント

  • OK:使用後はすぐに水分を拭き取り、乾いた柔らかい布で磨くように拭きます。
  • NG: 水分が残ったまま放置すると、変色や錆(緑青)の原因になります。

木地のお手入れポイント

  • OK:水またはぬるま湯でさっと洗い流し、すぐに柔らかい布で水分を拭き取ります。
  • NG: 洗剤の使用、直射日光やエアコンの風が当たる場所での急激な乾燥は、ひび割れや変形の原因になるため絶対に避けましょう。

保管する際の注意点

お手入れが終わった建水は、購入時に入っていた共箱(ともばこ)に納めて保管するのが最も安全です。

共箱は、ほこりを防ぎ、他の道具とぶつかって傷がつくのを防いでくれる大切なプロテクターです。

特に長期間使わない場合は、湿気の少ない場所に保管するように心がけましょう。

AFTERWORDS

建水を知ればお茶がもっと楽しくなる

茶道の隠れた必需品、「建水」。それは単なる「水捨て」ではなく、お点前を円滑に進めるための機能性と、茶席全体の品格を支えるという重要な役割を担う、奥深い道具です。その謙虚な姿の裏には、歴史や用の美が詰まっています。

最初は目立たない存在に思えるかもしれませんが、建水という名脇役に目を向けることで、道具の取り合わせの楽しさや、亭主の見えない部分への心遣いに気づくことができるようになります。

この記事を読んで「建水、ちょっと面白いかも!」と思っていただけたら、次のお稽古では、ぜひ建水に注目してみてください。きっと、今までとは少し違う景色が見えてきて、あなたのお茶の時間がもっと楽しく、豊かなものになるはずです。

その他、茶の道具についての記事はこちら

スポンサーリンク
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次