茶筅休め(くせ直し)とは?初心者に必須の道具である理由
茶道を始めたばかりのあなたが、お稽古やお茶会で最初に手にする「マイ道具」のひとつ、それが茶筅(ちゃせん)。
シャカシャカとお抹茶を点てるあの竹の道具です。
しかし、茶筅を買ったはいいものの、「使い終わった後、どうやって保管するの?」と固まった経験はありませんか?
一見すると「ただの陶器の突起物」に見えるかもしれませんが、これは茶筅にとっての「高級ベッド」であり、「専属スタイリスト」でもあります。
茶筅は竹という天然素材でできているため、非常にデリケート。
使った後にそのまま放置すると、穂先が閉じたり、変な方向に曲がったりして、あっという間に「寝癖で爆発した髪型」のようになってしまいます。
茶筅休めを使うことで、茶筅は美しいフォルムを保ち、次に使う時も最高のパフォーマンスを発揮してくれます。
初心者の方こそ、茶筅とセットで必ず手に入れてほしい「影の功労者」です。
茶筅休めを使う3つのメリットと効果
「えっ、茶筅を買った時に入っていたプラスチックのケースに戻せばいいんじゃないの?」と思ったあなた、それは茶筅にとって拷問に近い行為です!
茶筅休め(くせ直し)を使うべき決定的な3つの理由を解説します。
- 繊細な穂先のカール(くせ)を維持する
- 通気性を確保してカビの発生を防ぐ
- 茶筅の寿命を延ばせるため経済的
繊細な穂先のカール(くせ)を維持する
新品の茶筅の穂先は、内側にくるんと美しくカールしていますよね。
しかし、一度お湯を使って点てると、竹が水分を含んでこのカールが伸びてしまいます。(正常なこと)
茶筅休めは、茶筅の理想的なカーブに合わせて作られています。
日本茶アドバイザーパトラッシュ♂これにより、常にきめ細かい泡を点てやすい状態が保たれます。
通気性を確保してカビの発生を防ぐ
茶筅の大敵、それは「カビ」です。竹は水分を吸収しやすく、乾きにくい素材。
もし、買った時のプラスチックケースに濡れたまま戻して蓋をしたらどうなるでしょう?
それは「濡れたカッパをビニール袋に入れて密閉し、夏場の車内に放置する」ようなもの。
想像するだけで恐ろしいですね。
茶筅休めに伏せておけば、穂先が広がり、中心部まで空気が通ります。
茶筅の寿命を延ばせるため経済的
茶筅は消耗品ですが、決して安いものではありません(国産なら数千円します)。
お手入れをサボってすぐにダメにしてしまい、頻繁に買い替えるのはお財布に大打撃。
茶筅休め(数百円〜千円程度)を一度買っておけば、茶筅の寿命が2倍にも3倍にも伸びる可能性があります。
「茶筅休めへの投資は、実質タダ(あるいはプラス)」と言っても過言ではありません。
茶筅休め 昔から馴染みあるやつ
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茶筅休めの正しい使い方と手順
道具は使い方が9割。
間違った使い方をすると、逆に茶筅を痛めてしまうこともあります。
ここでは「茶筅を洗ってから休ませるまで」の黄金ルートを伝授します。
使用後の茶筅の洗い方(洗剤はNG)
竹が洗剤を吸ってしまい、次にお茶を点てた時に「洗剤風味の抹茶」が出来上がってしまいます。
また、竹の油分が抜けて割れやすくなる原因にもなります。
- 水かぬるま湯を用意:ボウルや茶碗に水を張ります。
- 振り洗い:その中で茶筅をシャカシャカと振ります(茶筅通しの要領)。
- 指で確認:汚れが落ちにくい場合は、指で優しく穂先を撫でるようにして抹茶を落とします。
- 仕上げ:流水でサッと流して完了。
茶筅休めへの被せ方とコツ
洗った直後、茶筅がまだ濡れている状態で茶筅休めに被せます。
これが最大のコツです。
乾いてから無理やり押し込むと、竹が折れてしまう可能性があります。
- ポイント:ギュウギュウと力一杯押し込む必要はありません。自然に止まる位置まで、スッと被せるだけでOKです。
- 注意:穂先が折れていないか、変な方向に挟まっていないかを確認しながら被せましょう。
保管場所と乾燥させる際の注意点
茶筅休めに被せたら、そのまま風通しの良い日陰で乾燥させます。
| OKな場所 | NGな場所 | 理由 |
| 風通しの良い日陰 | 直射日光の当たる場所 | 急激な乾燥で竹が割れる原因に |
| 食器棚(乾燥後) | コンロの近く | 熱気や油ハネで痛む |
| 涼しい場所 | 湿気の多い場所 | カビの温床になる |
完全に乾いたら、そのまま飾っておくのも風情がありますが、ホコリが気になる場合は茶筅休めから外し、通気性のある箱や棚に収納しても構いません(ただし、プラスチックケースに密閉するのは避けましょう)。
自分に合った茶筅休めの選び方
「茶筅休めなんてどれも同じでしょ?」と思いきや、実はいくつか種類があります。
自分のスタイルに合ったものを選びましょう。
素材の特徴(陶器製・木製・樹脂製)
それぞれの素材にはメリット・デメリットがあります。
| 素材 | おすすめ度 | 特徴 |
| 陶器製 | ★★★ | 最もおすすめ! 水に強く衛生的。適度な重さで安定感抜群。落とすと割れる点だけ注意。 |
| 木製 | ★ | 自然な風合いでおしゃれだが、茶筅休め自体がカビるリスクがあり、管理が難しい。 |
| 樹脂製 | ★★ | 割れない・安い・軽いがメリット。軽すぎて茶筅を乗せた時に倒れやすいことも。 |
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手持ちの茶筅に合わせたサイズの確認
一般的な茶筅(数穂、百本立、真数穂など)であれば、市販されている標準サイズの茶筅休めでほぼ対応できます。
ただし、以下の場合は注意が必要です。
- 野点(のだて)用:ピクニックなどで使う小さな茶筅。これには「野点用(小)」の茶筅休めが必要です。
- マドラー型:特殊な形状の茶筅には使えない場合があります。
デザインや価格帯の目安
- 価格:500円〜1,500円程度。
- デザイン
- 無地(青磁・白・黒): 茶道らしい落ち着いた雰囲気。どんな茶室にも合います。
- 柄入り(花柄・動物など): お家で楽しむなら、自分のテンションが上がる可愛い柄もアリ! 猫の絵柄など、ユニークなものも増えています。
茶筅休めは代用できる?
「わざわざ専用の道具を買うのもなぁ…家にあるもので代用できない?」という節約家の心の声が聞こえてきます。
しかし、ここは声を大にして言いたい。
100均アイテムなどで代用をおすすめしない理由
ネット上には「100均の泡立て器ホルダーで代用!」などの裏技情報もありますが、おすすめしません。
- サイズが微妙に違う:茶筅のカーブは独特です。泡立て器用のホルダーでは、穂先が変に広がったり、逆に締め付けすぎたりして、茶筅の形を崩す原因になります。
- 素材の問題:100均の便利グッズは耐久性や衛生面で茶筅の保管に適していない場合があります。
適切な保管をしなかった場合のリスク
専用の茶筅休め(くせ直し)を使わずに適当に保管すると、以下のような悲劇が起こります。
- 穂先がすぼまる:泡立ちが悪くなり、美味しいお茶が点てられなくなる。
- カビが生える:穂の根元が黒ずんでくる(こうなるともう使えません、サヨナラです)。
- 竹が割れる:乾燥の過程で負荷がかかり、持ち手の部分がパキッといく。
数百円をケチった結果、数千円の茶筅をダメにしては本末転倒です。



茶筅休めは「茶筅の保険」と考えましょう。
茶筅を長く愛用するためのお手入れQ&A
最後に、よくある質問にお答えします。
茶筅休め自体のお手入れ方法は?
陶器製であれば、普通の食器と同じように洗剤とスポンジで洗ってOKです。
茶筅から落ちた抹茶がついていることがあるので、時々洗って清潔に保ちましょう。
もちろん、しっかり乾燥させてから使ってください。
茶筅の穂先が折れたり伸びたりした時の対処法
- 折れた場合:1〜2本折れた程度なら、その部分を根元からハサミなどで綺麗に取り除けばまだ使えます。ただし、点てたお茶の中に折れた竹片が入らないよう、厳重に注意してください(飲んだら大変です!)。
- 伸びた場合:お湯を通すとカールが伸びるのは仕様です。茶筅休めで形を整えていれば問題ありません。
茶筅の買い替え時期の目安は?
残念ながら茶筅は一生モノではありません。
以下の症状が出たら、感謝を込めて引退させてあげましょう。
- 穂先がボロボロ:本数が減りすぎてスカスカになった。
- 腰がなくなった:弾力性がなくなり、泡が立ちにくくなった。
- カビ・黒ずみ:衛生的にアウトです。
- 柄の割れ:点てている最中に分解する恐れがあります。
AFTERWORD
茶筅休めを活用して茶道ライフを楽しもう
茶筅休め(くせ直し)は、地味ながらも茶道ライフの質を爆上げしてくれる名脇役です。
- 形をキープして、いつでも美味しいお茶を点てられる。
- カビを防いで、衛生的&経済的。
- 見た目もプロっぽい(置いてあるだけで「おっ、やってるね!」感が出ます)。
まだお持ちでない方は、ぜひ次のお稽古やお買い物の際に手に入れてください。
茶筅を大切に扱う心は、きっと美味しい一服につながるはずです。
さあ、茶筅を休ませて、あなたもホッと一息つきましょう!





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