茶巾とは?茶道での役割・たたみ方・選び方・お手入れまで初心者ガイド

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茶巾とは?茶道に欠かせない小さな布の奥深い世界

茶道のお点前で、亭主(お茶を点てる人)が茶碗を優雅に拭いている、あの白い布。
一見するとただの布切れに見えるかもしれませんが、それこそが「茶巾(ちゃきん)」です。

実はこの茶巾、茶道の世界では主役級の重要アイテム。

お客様に清らかな一服を差し上げるための、おもてなしの心がギュッと詰まっているのです。

この記事では、そんな茶巾の基本的な役割から、思わず「へぇ!」と膝を打ちたくなるようなマニアックな知識、そして明日から使えるお手入れ方法まで、徹底解説します。

茶道に興味があるあなたも、お茶が好きなあなたも、この小さな布が持つ奥深い世界に、きっと引き込まれるはずです!

茶巾の基本的な役割とは?

茶巾の最も重要な役割は、お点前の最中に茶碗を拭き清めることです。

お湯で茶碗を温めた後や、お茶を点てた後など、茶巾を使って茶碗の内側や飲み口を丁寧に拭います。

これは単に水分や汚れを取るだけでなく、「清浄」を何よりも重んじる茶道の精神を体現する、非常に大切な所作です。

例えるなら、茶碗にとっての専属エステティシャンといったところでしょうか。

最高の状態でゲスト(お客様)の前に送り出すための、最後の仕上げを担うプロフェッショナル。

地味に見えて、その責任は重大です。

日本茶アドバイザーパトラッシュ♂

茶聖・千利休も「何がなくとも茶巾さえ清潔であれば茶は飲める」と語ったとされるほど、その清らかさが重視されています。

茶巾の素材と特徴 – なぜ麻が使われるのか

茶巾の素材には、主に麻(あさ)が使われます。

特に最高級品として知られる「奈良晒(ならざらし)」は、多くの茶人に愛されてきました。

では、なぜ数ある布の中から麻が選ばれたのでしょうか。それには、麻が持つ以下の優れた特性が関係しています。

麻が使われる理由
  • 抜群の吸水性:茶碗についた水分を素早く、かつきれいに拭き取ることができます。
  • 優れた速乾性:湿った後も乾きやすく、雑菌が繁殖しにくいので清潔さを保てます。
  • 高い耐久性:何度も洗って繰り返し使える丈夫さを持っています。
  • 使い込むほどに馴染む風合い:新品のパリッとした質感も良いですが、使い込むほどに柔らかく手に馴染み、扱いやすくなるのも麻ならではの魅力です。
日本茶アドバイザーパトラッシュ♂

仕事(吸水)が早く、後腐れなく(速乾)、タフ(丈夫)。まるでデキるビジネスパーソンのような素材、それが麻なのです。

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茶巾のたたみ方をマスターしよう!基本から流派の違いまで

茶巾は、ただ四角く畳めばよいというものではありません。

そのたたみ方には、流派ごとに受け継がれてきた伝統の技と美学が込められています

「たかが布を畳むだけ」と侮るなかれ。

この静かな所作自体が、心を整える「動く瞑想」でもあります。

まずは覚えたい!基本的な茶巾のたたみ方

多くの流派で基本となるのが、縦に三つ折りにしてから、さらに折りたたんでいく方法です。

このたたみ方によってできる中央のふっくらとした空間は「福溜(ふくだめ)」と呼ばれ、福を溜めるという縁起の良い意味合いも込められています。

基本的なたたみ方の手順(一例)

たたみ方手順
STEP
茶巾を横長に広げます。
STEP
上側3分の1を向こう側へ折ります。
STEP
さらに手前へ半分に折り、細長い三つ折りの状態にします。
STEP
これを縦にし、左手の親指を軸にして半分に折ります。
STEP
さらに折り込み、親指をそっと抜くと「福溜」ができます。

この一連の流れをスムーズに行うのが、美しい所作への第一歩です。

流派によるたたみ方の違い(裏千家・表千家など)

茶巾のたたみ方は、流派によって微妙に異なります。

これは各流派が持つ美意識や哲学の違いの表れでもあり、茶道の奥深さを感じられる非常に興味深いポイントです。

裏千家のたたみ方

裏千家では、前述した「福溜」を作るたたみ方が一般的です。

三つ折りにしたあと、左手の親指を巧みに使って折りたたんでいくのが特徴で、出来上がった茶巾は釜の蓋の上に置かれます。

表千家のたたみ方

表千家も三つ折りにする点は共通していますが、その後の工程に違いが見られます。最終的にほぼ正方形に近い形に整えるのが特徴で、裏千家とは少し違った手順でたたまれます。

流派たたみ方の特徴
裏千家左親指を軸にして折りたたみ、「福溜」と呼ばれるふくらみを作るのが一般的。
表千家三つ折りの後、手順を踏んで正方形に近い形に整える。

大きさ自体は表千家と裏千家でほぼ同じですが、武者小路千家では少し幅の狭い茶巾が使われるなど、流派によって道具の寸法からして異なる場合もあります。

実践!お点前での茶巾の使い方

たたみ方を覚えたら、次はいよいよ実践です。

お点前の中で茶巾がどのように使われるのか、その美しい所作のポイントと、季節感を演出する特別な使い方を見ていきましょう。

茶碗を清める手順 – 美しい所作のポイント

茶巾で茶碗を清める所作は、お点前の見せ場の一つです。

流れるような動きの中に、亭主の熟練度とお客様への心が表れます。

裏千家における茶碗を清める手順の例

清め方手順(裏千家)
STEP
たたんだ茶巾を右手で取り、茶碗の中に入れます。
STEP
茶巾の「福溜」の部分をつまみ、茶碗の縁にかけます。
STEP
親指を茶碗の内側に、他の指を外側にして、時計回りに「三回半」拭きます。
STEP
最後に、茶碗の底をカタカナの「い」とひらがなの「り」を続けて書くように拭き清めます。

美しい所作のポイント

美しい所作とは
  • 無駄のない動き:一つ一つの動作を滑らかにつなげ、流れるように行いましょう。
  • 正しい姿勢:背筋を伸ばし、落ち着いた心持ちで臨むことが大切です。
  • 指先への意識:茶巾を広げたり、拭いたりする際の指先まで意識すると、所作が格段に洗練されて見えます。
日本茶アドバイザーパトラッシュ♂

この一連の動きは、単に茶碗を拭くだけでなく、お客様への敬意と、お茶への感謝を示すための儀式です。

特殊な点前:「絞り茶巾」と「洗い茶巾」

茶巾の使い方は、季節によっても変化します。特に夏と冬には、季節感を巧みに演出するための特別な点前が存在します。

特殊な作法
  • 絞り茶巾(しぼりちゃきん):極寒期(1〜2月)に行われる点前です。通常はあらかじめたたんでおく茶巾を、点前の最中に絞ってからたたむことで、湯気の立つ温かさを視覚的に演出し、茶筅通しの時間を短縮する合理性も兼ね備えています。
  • 洗い茶巾(あらいちゃきん):酷暑期(7〜8月)に行われる、涼を呼ぶための点前です。平茶碗に水を張り、たたんでいない茶巾を入れて席に運び出します。お客様の前で茶巾を絞る水の音や、茶碗から水を捨てる所作で、聴覚から涼しさを届ける、なんとも粋な趣向です。
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これらの点前は、単にお茶を点てるだけでなく、五感で季節を感じてもらおうという、茶人たちのクリエイティビティの結晶と言えます。

もっと知りたい!茶巾の種類と選び方

一口に茶巾と言っても、実はいくつかの種類があります。

素材の違いや、よく似た他の布との違いを知ることで、あなたも立派な「茶巾通」になれるかもしれません。

「片麻」と「両麻」の違い

麻の茶巾には、織り方の違いによって「片麻(かたま)」と「両麻(りょうあさ)」の2種類があります。

それぞれの特徴を理解して、自分に合った茶巾を選びましょう。

種類素材特徴おすすめの用途
片麻縦糸:綿、横糸:麻柔らかく吸水性が良い。比較的安価。初心者、お稽古用
両麻縦糸:麻、横糸:麻丈夫でハリがあり、長持ちする。本格的。本格的なお茶会、長く使いたい方
日本茶アドバイザーパトラッシュ♂

どちらが良いというわけではなく、用途や好みに合わせて選ぶのがポイントです。まずは扱いやすい片麻から始めてみるのが良いよん。

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茶巾と小茶巾、古帛紗との違いは?

茶道で使われる布には、茶巾の他にもよく似たものがあります。

それぞれの役割を理解しておくと、茶道具屋さんで混乱せずに済みます。

似た名前の茶道具
  • 小茶巾(こぢゃきん):濃茶(こいちゃ)をいただく際に、客が自分の飲み口を清めるために使う小さな布です。亭主が使う茶巾とは異なり、客が持参する道具の一つで、布製と紙製があります。
  • 古帛紗(こぶくさ):主に裏千家で使われる、道具を拝見する際に下に敷いたり、茶碗に添えて出されたりする小さな四角い布です。美しい柄のものが多く、茶席のアクセントにもなります。
  • 出帛紗(だしぶくさ):主に表千家で使われ、古帛紗とほぼ同じ役割を果たします。

簡単にまとめると、「茶巾は亭主が茶碗を清める布」、「小茶巾は客が飲み口を清める布」、「古帛紗・出帛紗は道具を扱う際に使う布」と覚えておくと分かりやすいです。

初心者におすすめの茶巾の選び方

これから茶道を始める、あるいは自宅で抹茶を楽しみたいという初心者の方には、まず「片麻」の茶巾がおすすめです。

比較的安価で手に入りやすく、柔らかくて扱いやすいため、最初の1枚として最適です。

まずは片麻で茶巾の扱いに慣れ、お点前に慣れてきた頃に、少しこだわって「両麻」を手に取ってみるのも良いでしょう。

大切な茶巾を長持ちさせるお手入れ方法

清浄さが命の茶巾は、日頃のお手入れが非常に重要です。正しいお手入れで、大切な茶巾を清潔に長持ちさせましょう。

正しい洗い方と干し方

お稽古で使った茶巾は、その日のうちに洗うのが鉄則です。

茶巾の洗い方と干し方
STEP
洗い方

基本は手洗いです。

抹茶の汚れは、ぬるま湯でもみ洗いすればきれいに落ちます。

汚れが気になる場合は、衣類用の酸素系漂白剤を薄めて使うこともできますが、匂いが残らないようにしっかりとすすぎましょう。

STEP
のりづけ

洗った後は、軽く洗濯のりで「のりづけ」をします。

これにより、布にハリが出てシワが伸び、たたみやすくなります。

STEP
干し方

シワをしっかりと伸ばし、形を整えてから陰干しします。

アイロンをかけるとパリッと仕上がりますが、その際は当て布をしましょう。

茶巾の保管方法と交換の目安

清潔に保つことが何よりも大切なので、湿気のない風通しの良い場所で保管しましょう。桐の箱などに入れておくと安心です。

日本茶アドバイザーパトラッシュ♂

交換の目安は明確には決まっていませんが。。。。

交換目安
  • 汚れが落ちにくくなった
  • 生地が著しく薄くなったり、破れたりした

といった状態になったら、新しいものに交換するタイミングです。特に、お客様を招く正式な茶事・茶会では、感謝の気持ちを込めて新品の茶巾を用意するのが亭主のおもてなしの心とされています。

AFTERWORDS

茶道における小さな巨人、「茶巾」。

それはただの布ではなく、お茶を点てる空間を清め、お客様への最高のおもてなしを表現するための、心遣いの塊です。

その素材からたたみ方、使い方、そしてお手入れに至るまで、すべてに理由と伝統が息づいています。

この記事を読んで、「茶巾、なんて奥が深いんだ…!」と感じていただけたなら幸いです。

次にあなたが茶席に臨むとき、あるいは自宅で一服のお茶を点てるとき、この小さな白い布が、これまでとは少し違って見えるかもしれません。

さあ、あなたも茶巾と共に、清らかで楽しいお茶の世界へ一歩踏み出してみませんか?

その他、茶の道具についての記事はこちら

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