【セイロン紅茶】:セイロン?産地別の個性と美味しい淹れ方ガイド

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目次

セイロン紅茶とは?

知ればもっと好きになるスリランカ紅茶の魅力

「セイロン紅茶ってよく聞くけど、結局どんな紅茶なの?」「種類が多すぎて、どれを選べばいいか分からない…」なんて思ったことはありませんか?

紅茶の世界に足を踏み入れると必ず出会う「セイロン紅茶」。

まるで紅茶界の優等生のように語られがちですが、その正体は、産地ごとに全く違う顔を持つ、超個性的なエンターテイナー集団です!

この記事では、「セイロン紅茶」と一括りにするなんてもったいない!という熱い思いを胸に、その奥深い魅力から美味しい淹れ方、あなたにピッタリな茶葉の選び方まで、徹底解説します。

読み終わる頃には、あなたもきっとお気に入りの「セイロンさん」を見つけたくなるはずです。

セイロン紅茶の基本|世界で愛される理由と歴史

まずは基本の「き」。セイロン紅茶がなぜこれほどまでに世界中のティータイムに欠かせない存在となったのか、その秘密を歴史と共に紐解いていきましょう。

「セイロン」はどこ?スリランカ紅茶の総称

「セイロン」とは、インドの南東に浮かぶ美しい島国、スリランカの旧国名です。

1972年に国名が「スリランカ民主社会主義共和国」に変わりましたが、それ以前から「セイロンティー」の名前は世界的なブランドでした。

そのため、今でもスリランカ産の紅茶は「セイロン紅茶」として、世界中で愛され続けているのです。

スリランカは北海道の約8割ほどの小さな島ですが、中央部には2,000m級の山々が連なります。

この標高差が驚くほど多様な気候を生み出し、同じ島で栽培されたとは思えないほど、バラエティ豊かな風味のセイロン紅茶が生まれる秘密となっています。

コーヒー農園から紅茶大国へ、セイロン紅茶の歩み

驚くべきことに、19世紀のスリランカ(当時はセイロン島)は、紅茶ではなくコーヒーの一大産地でした。

しかし1869年頃から、コーヒーの木を枯らす「さび病」が大流行し、コーヒー農園は壊滅的な打撃を受けます。

そこで救世主として白羽の矢が立ったのが、紅茶でした。

このドラマチックな転換期に大きな役割を果たしたのが、かの有名な“紅茶王”トーマス・リプトンです。

彼はスリランカの茶園を買い取り、「農園から直接ティーポットへ」をスローガンに、品質管理を徹底し、新鮮で高品質なセイロン紅茶を世界中の人々へ届けました。まさに、コーヒーの悲劇が生んだ紅茶のシンデレラストーリーと言えますね。

セイロン紅茶の主要5大産地とそれぞれの個性

セイロン紅茶の最大の面白さは、なんといっても産地ごとの個性の違いにあります。

栽培される標高によって大きく3つに分類され、さらに代表的な5つの産地(銘柄)は「世界5大セイロンティー」として知られています。

それぞれのキャラクターを掴んで、あなた好みのセイロン紅茶を見つけてみましょう!

標高区分産地(銘柄)特徴
ハイグロウン(高地産)ウバ、ディンブラ、ヌワラエリヤ、ウダプッセラワ繊細な香りと爽やかな渋み。ストレート向き。
ミディアムグロウン(中地産)キャンディクセがなくマイルドで飲みやすい。アレンジ向き。
ローグロウン(低地産)ルフナ、サバラガムワ濃厚なコクと個性的な風味。ミルクティー向き。

ハイグロウンティー(高地産):繊細な香りと爽やかな渋み

標高約1,200m以上で栽培される紅茶です。昼夜の寒暖差と霧が、花のような繊細な香りと心地よい渋み(タンニン)を生み出します。

日本茶アドバイザーパトラッシュ♂

日本で最も人気が高いのが、このハイグロウンティーです。

ウバ(Uva):世界三大紅茶の一つ、独特のメントール香

ダージリン、キームンと並び「世界三大紅茶」に数えられるスター選手。

7月~9月の旬の時期に収穫された茶葉は、「ウバフレーバー」と呼ばれるメントール系の爽快な香りを持つのが最大の特徴です。

この独特の香りとキレのある渋みは、一度ハマると抜け出せない魅力があります。

良質なウバの証である「ゴールデンリング」(カップの縁に見える金色の輪)を探すのも楽しみの一つです。

ディンブラ(Dimbula):バランスの取れた優等生、華やかな香り

香り、コク、渋みのバランスが非常に良く、「紅茶らしい紅茶」と評される優等生タイプ。

旬の1月~3月頃には、バラのような華やかな香りが楽しめます。

クセがなく飲みやすいため、ストレートはもちろん、レモンティーやミルクティーなど、どんな飲み方にも応えてくれる万能選手です。

ヌワラエリヤ(Nuwara Eliya):「セイロンティーのシャンパン」と称される繊細さ

スリランカで最も標高の高い地域で生産される、希少価値の高い紅茶です。

その繊細で優雅な香りと、緑茶にも似た爽やかな渋みから「セイロンティーのシャンパン」と称されます。

明るいオレンジ色の水色(すいしょく)も美しく、そのデリケートな風味を味わうなら、まずはストレートで飲むのが断然おすすめです。

ミディアムグロウンティー(中地産):穏やかで飲みやすい味わい

標高約600m~1,200mの地域で栽培される紅茶です。ハイグロウンとローグロウンの中間的な特徴を持ち、穏やかで飲みやすい味わいが魅力です。

キャンディ(Kandy):クセがなくマイルド、初めての方にもおすすめ

セイロンティー発祥の地ともいわれる古都キャンディで生産されています。

渋みが少なく、ほんのりとした甘みとマイルドな口当たりが特徴で、紅茶初心者の方や、強い渋みが苦手な方にもおすすめです。

クセがないためアレンジしやすく、特に冷やしても濁り(クリームダウン)が少ないため、アイスティーに最適です。

ローグロウンティー(低地産):濃厚なコクと個性的な風味

標高600m以下の低地で栽培される紅茶です。

高温多湿な気候で育つため、茶葉が力強く成長し、発酵がよく進みます。その結果、濃厚なコクと独特の風味が生まれます。

ルフナ(Ruhuna):スモーキーな香りと力強いコク

ルフナとは現地の言葉で「南」を意味します。

黒糖や蜂蜜を思わせるような甘い香りと、ややスモーキーで濃厚なコクが特徴です。

水色は濃い赤褐色で、その力強い味わいはミルクとの相性が抜群。濃厚なミルクティーが好きな方にはたまらない、個性派のセイロン紅茶です。

セイロン紅茶を最高に楽しむ美味しい淹れ方

せっかくの個性豊かなセイロン紅茶、どうせなら最高に美味しく淹れたいですよね。

いくつかの簡単なルールを守るだけで、いつものティータイムが格段にレベルアップします!

基本のゴールデンルール|ポットとカップを温めるのが鍵

美味しい紅茶を淹れるための基本は「ゴールデンルール」と呼ばれています。

中でも特に重要なのが、ポットとカップをあらかじめお湯で温めておくこと

この一手間が、お湯の温度低下を防ぎ、茶葉の持つ香りや味わいを最大限に引き出すのです。

紅茶のゴールデンルール
  1. 器具を温める:ティーポットとカップに熱湯(分量外)を注ぎ、全体をしっかりと温めておきます。
  2. お湯を沸かす:空気をたくさん含んだ新鮮な水道水を、ボコボコと大きな泡が出るまで沸騰させます(100℃)。
  3. 茶葉を計って蒸らす:温めたポットのお湯を捨て、茶葉を入れます。沸騰したてのお湯を注ぎ、すぐに蓋をして蒸らしましょう。
  4. 注ぎ分ける:蒸らし終わったら、スプーンで軽くひと混ぜし、茶こしで濾しながらカップに注ぎます。最後の一滴(ゴールデンドロップ)まで注ぎ切るのがポイントです。

セイロン紅茶の楽しみ方

茶葉の量と蒸らし時間で好みの味に

ゴールデンルールを基本にしつつ、自分好みの味を見つけるのも紅茶の楽しみ方。

ちょっとしたアレンジ
  • 茶葉の量:基本は1杯(約150ml)あたりティースプーン1杯(約2〜3g)ですが、濃いめが好きなら少し多めに。
  • 蒸らし時間:茶葉の大きさによって調整します。細かいBOPタイプは2分半~3分、大きいOPタイプは3~4分が目安です。ミルクティーにする場合は、少し長めに蒸らすと、牛乳に負けない濃厚な味わいになります。

セイロン紅茶は産地によって個性が異なるため、アレンジの幅も無限大です。

その日の気分に合わせて楽しみ方を変えてみましょう。

ストレートティーで産地の個性を味わう

ヌワラエリヤの繊細な香りや、ウバの独特なフレーバーを堪能するなら、まずはストレートが一番です。それぞれの産地の「らしさ」をダイレクトに感じてみてください。ハイグロウンのディンブラも、バランスの良さが際立ちます。

ミルクティーに最適な茶葉は?濃厚なコクを楽しむ

ミルクティーには、ミルクの風味に負けない濃厚なコクのあるセイロン紅茶がおすすめです。

セイロンティー同士の飲み比べ
  • ウバ:独特の渋みがミルクと合わさることで、驚くほどまろやかでコク深い味わいに変化します。
  • ルフナ:力強いコクとスモーキーな風味が、濃厚なチャイやミルクティーにぴったりです。
  • ディンブラ:バランスが良いので、マイルドで上品なミルクティーを楽しみたい方におすすめです。

アイスティーですっきりと!作り方のコツ

美味しいアイスティーのコツは、濁らせずにクリアに作ること。紅茶がゆっくり冷めることで起こる「クリームダウン」(白く濁る現象)を防ぐには、急冷が鉄則です。

簡単アイスティー作り方
  1. 通常の2倍の濃さのホットティーを作ります。(茶葉の量を2倍にするか、お湯の量を半分にする)
  2. 氷をたっぷり入れたグラスに、熱い紅茶を一気に注ぎ、かき混ぜて急冷します。

アイスティーには、バランスの良いディンブラが特におすすめです。

自分にぴったりの一枚を見つける!セイロン紅茶の選び方

さあ、あなたも自分だけのお気に入りセイロン紅茶を探したくなってきたはず。最後に、選ぶ際のヒントを2つご紹介します。

産地(銘柄)で選ぶ

これまでご紹介した5大産地の特徴を参考に、自分の好みに合いそうなものから試してみるのが王道です。

産地で選ぶなら
  • 爽やかで繊細な香りが好きなら → ハイグロウンの「ヌワラエリヤ」「ディンブラ」
  • 紅茶らしいパンチが欲しいなら → 「ウバ」
  • とにかく飲みやすさ重視なら → ミディアムグロウンの「キャンディ」
  • 濃厚なコクとミルクティーが好きなら → ローグロウンの「ルフナ」

まずはこの5種類を制覇するだけでも、セイロン紅茶の多様な世界に驚かされることでしょう。

日本茶アドバイザーパトラッシュ♂

わたしは、ウバが推しです。

信頼の証「ライオンロゴ」とは?

セイロン紅茶のパッケージで、剣を持ったライオンのマークを見たことはありませんか?

 これはスリランカ政府紅茶局が定める厳しい基準をクリアした、高品質なセイロン紅茶の証です。

信頼のライオンロゴ基準
  1. 100%スリランカ産の茶葉であること
  2. スリランカ国内で包装されていること
  3. スリランカ紅茶局が定めた品質基準を満たしていること

このロゴが付いていれば、それはまさしく「純粋なセイロンティー」であることの証明。

どの紅茶を選べば良いか迷ったときは、このライオンロゴを目印にするのも良い方法です。

AFTERWORD

奥深いセイロン紅茶の世界へようこそ

セイロン紅茶は、決して「ただの飲みやすい紅茶」ではありません。

スリランカという小さな島に凝縮された、多様な自然環境が生み出す奇跡の産物です。

産地ごとの個性的なキャラクターを知れば知るほど、その奥深い魅力の虜になること間違いなし。

爽やかな優等生から、スモーキーな個性派まで、多彩な顔ぶれがあなたを待っています。

さあ、まずは気になる産地から一杯。あなただけの「推しセイロン」を見つける、楽しいティー・ジャーニーに出かけましょう!

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