お茶好きな健康オタクの皆さん、こんにちは。
突然ですが、あなたは「カテキン」と聞いて何を思い浮かべますか?
「脂肪燃焼?」「抗酸化作用?」「とりあえず苦いアレ?」
もしあなたが「カテキン=全部同じ」と思っているなら、それは「ガンダムとジムは同じロボットだろ?」と言うのと同じくらい乱暴な話です。
実は今、お茶の科学においてある「下剋上」が起きています。
長年、お茶界の絶対王者として君臨してきた「エピガロカテキンガレート(EGCG)」に対し、その影に隠れていた「エピガロカテキン(EGC)」が、実は免疫システムの最強の司令塔だったことが判明したのです。
本記事では、最新の研究データに基づき、このEGCを骨の髄までしゃぶり尽くすための「論理的なお茶の飲み方」を解説します。
エピガロカテキン(EGC)とは?EGCGとの決定的な違い
まず、敵(といっても味方ですが)を知ることから始めましょう。
緑茶に含まれるカテキンは、実は4人の個性豊かな兄弟たちで構成されています。
この違いを理解することが、健康オタクへの第一歩です。
「カテキン」は一種類ではない:4つの基本構造
成分表を見ると「タンニン」や「カテキン」と一括りにされがちですが、化学的には以下の4つが主要メンバーです。
| カテキン名 | 略称 | 特徴 | 味の傾向 |
|---|---|---|---|
| エピガロカテキン | EGC | 今回の主役。 免疫のスペシャリスト | 苦味少なめ、後味すっきり |
| エピガロカテキンガレート | EGCG | お茶界の有名人。 抗酸化・脂肪燃焼の王 | 強烈な苦味・渋味 |
| エピカテキン | EC | 基本骨格。存在感は控えめ | 苦味・渋味ともに中程度 |
| エピカテキンガレート | ECG | EGCGの弟分的な存在 | 渋味が強い |
覚えるべきは、「ガレート基(G)」が付いているかいないかです。
名前が長い「〜ガレート(EGCG)」は重装備の戦士、短い「〜カテキン(EGC)」は身軽な忍者、とイメージしてください。
エピガロカテキン(EGC)とエピガロカテキンガレート(EGCG)の役割分担
これまで、テレビや健康番組でチヤホヤされてきたのはEGCGでした。
EGCGの得意技:ウイルスに直接吸着して無力化する(抗ウイルス)、脂肪を燃やす、酸化を防ぐ。
日本茶アドバイザーパトラッシュ♂いわば「最前線の特攻隊長」です。
一方、今回注目するEGCは役割が全く異なります。
EGCの得意技:体内の免疫細胞に指令を出し、防御システム全体を底上げする。



いわば「司令部の軍師」です。
なぜ今、EGCが「免疫のスペシャリスト」として注目されるのか
近年の研究(特に日本の農研機構などの成果)により、「生体防御(免疫)スイッチを入れるのは、EGCGではなくEGCである」という衝撃の事実が明らかになりました。
EGCGが「入ってきた敵を叩く」のに対し、EGCは「そもそも敵に負けない体を作る(粘膜免疫の強化)」という、より根本的なアプローチを担当しています。



健康オタクとしては、この「根本治療的」な響きにグッとくるはずです。
EGCの免疫活性メカニズム
ここからは少しマニアックな話をします。
「なんとなく体にいい」ではなく、「どの受容体がどう動くか」を知ってこそ、プラシーボを超えた効果が得られるというものです。
- マクロファージを活性化させる
- 「TRPM2チャネル」と過酸化水素のシグナル
- 粘膜免疫系へのアプローチ
マクロファージを活性化させる「食作用」の正体
私たちの体には、体内に侵入した異物(ウイルスや細菌)をパクパク食べて処理する掃除屋「マクロファージ」が存在します。
EGCを摂取すると、このマクロファージの食欲が爆発的に向上することが分かっています。
つまり、マクロファージが「大食いモード」に覚醒するのです。
鍵を握るセンサー「TRPM2チャネル」と過酸化水素のシグナル
では、なぜEGCだけがマクロファージを覚醒させられるのでしょうか?
そのメカニズムは非常にドラマチックです。
- EGCを摂取すると、体内でごく微量の過酸化水素が発生します。
- マクロファージの表面にある「TRPM2チャネル」というセンサーが、この過酸化水素を感知します。
- センサーが作動すると、細胞内にカルシウムイオンが流入し、スイッチON!
- 「敵だ!食らい尽くせ!」という指令が発動します。
粘膜免疫系へのアプローチ:呼吸器・消化器のバリア機能
EGCは、血液中だけでなく、口・鼻・腸などの「粘膜」で働くIgA抗体の産生もサポートします。
分かりやすく説明すると。
ウイルスは粘膜から侵入します、つまり、EGCを摂取することは、家の玄関に屈強な警備員(IgA)を配置し、さらに家の中で掃除屋(マクロファージ)がショットガンを構えて待機しているような、鉄壁の状態を作り出すことと同義です。
【重要】EGCの効果を最大化する「抽出温度」の科学
ここからが本記事のハイライトです。
「じゃあ、熱いお茶をガブガブ飲めばいいんだな?」と思ったあなた。
残念ながら、それは大きな間違いです。
熱湯はNG?EGCGによる「免疫活性の阻害」現象
実は、EGCとEGCGは「仲が悪い」という致命的な欠点があります。
研究によると、EGCがせっかくマクロファージのスイッチ(TRPM2)を押そうとしても、EGCGが大量に存在すると、そのスイッチをブロックしてしまう(拮抗作用)ことが判明しています。
熱湯で淹れる → EGCG(阻害役)がドバドバ溶け出す → EGCの効果が打ち消される
低温で淹れる → EGCGは溶け出しにくいが、EGCは溶け出す → 免疫活性MAX!



つまり、免疫を上げたいなら「EGCGをいかに抽出しないか」が勝負の分かれ目です。
氷水出し(水出し)が最強である理由:成分溶出率のグラフを読み解く
温度と抽出の関係をざっくりまとめると以下のようになります。
| 抽出温度 | EGC(免疫◎) | EGCG(阻害役×) | 判定 |
|---|---|---|---|
| 熱湯(80℃以上) | よく出る | 超大量に出る | 免疫活性は低下 |
| 冷水(10℃前後) | よく出る | 半分以下 | 免疫活性は良好 |
| 氷水(0℃付近) | よく出る | ほぼ出ない | 免疫活性は最強 |
「氷水出し」こそが、EGCGを封じ込め、EGCだけを抽出する唯一のチート技なのです。
カフェインを抑え、テアニンを残す:自律神経への副次的メリット
氷水出しにはもう一つ、健康オタク歓喜のメリットがあります。
それは「カフェインが出ない」こと。
カフェインもEGCG同様、低温ではほとんど溶け出しません。
一方で、リラックス成分であるアミノ酸「テアニン」は低温でもしっかり溶け出します。
- EGC(免疫)
- テアニン(リラックス・集中)
- カフェインレス(睡眠阻害なし)
この「トリプル役満」を達成できるのが、氷水出し緑茶なのです。
EGCを狙い撃ちする「究極の水出し緑茶」メソッド
では、EGCの効果を極限まで高めるレシピを伝授します。
適当に作るのではなく、実験のように正確に行いましょう。
準備するもの:茶葉の選び方と水質の重要性
- 茶葉:普通の「煎茶」または「深蒸し茶」がベスト。高級な玉露である必要はありません(後述)。
- 水:日本の水道水(軟水)でOKですが、カルキ臭はEGCの繊細な風味を邪魔するので、浄水器を通すか、市販の軟水ミネラルウォーター推奨。
- 氷:大量に用意してください。
抽出プロトコル:温度0℃〜10℃・時間の黄金比
水1リットルに対して茶葉10g〜15g(大さじ2〜3杯)。ケチるとEGC濃度が上がりません。
茶葉の上に、氷を容器の半分くらいまでギッシリ入れます。
氷の上から水を注ぎます。これにより、水温が急激に0℃近くまで下がります。
急ぎの場合:常温放置で40分〜1時間(氷が溶ける過程で抽出されます)。 究極を目指す場合:冷蔵庫に入れて一晩(6〜8時間)。低温でじっくり出すことで、細胞壁を壊さずにEGCだけが染み出してきます。
オススメ水出しボトル



使い易い冷茶ボトルで紹介、耐熱なんで夏より冬の方が使ってたりします。
抽出効率を上げるための物理的アプローチ(茶葉の形状・撹拌)
- 茶葉の形状:茶葉が開くスペースが必要なので、ティーバッグよりもリーフ(茶葉そのまま)を使い、ジャンピングできる大きめのポットを使うのが理想です。
- 撹拌(かくはん):飲む前に、底に沈殿した成分を優しく撹拌してください。激しく振ると雑味(EGCG)が出てしまうリスクがあるので、あくまで優しく。
※参考論文:
・h26_seika_p46-47.pdf
・緑茶抽出液に含まれる免疫賦活活性成分とその効果的抽出法 | 農研機構
・緑茶成分の免疫作用
茶葉の品種と栽培方法によるEGC含有量の違い
「どの茶葉を買えばいいの?」というマニアックな疑問にお答えします。
煎茶・深蒸し茶・玉露:EGCリッチなのはどれ?
結論から言うと、「普通の煎茶」がEGC摂取には最もコストパフォーマンスが良いです。
高級茶である「玉露」や「抹茶」は、旨味(テアニン)は多いですが、栽培方法の違いによりカテキン総量は煎茶より少なめになる傾向があります。
遮光栽培(被覆)と露地栽培による成分バランスの変化
カテキンは、茶葉が太陽光を浴びることで生成されます。
* 玉露・かぶせ茶:収穫前に黒い布で覆って日光を遮る(遮光栽培)。→ 渋味(カテキン)が減り、旨味(テアニン)が増す。
テアニン効果で、リラックス効果や集中力UP、カフェインの作用を抑えるのには玉露やかぶせ茶がオススメです。
* 煎茶(露地栽培):太陽をガンガン浴びる。→ カテキン(EGC含む)が豊富に生成される。
エピガロカテキンの免疫系特化は煎茶がオススメです。



結論、バランスよく取るなら、覆い下栽培を適度にされた煎茶がオススメってことですね。
「火入れ」の影響:生茶葉と仕上げ茶の違い
茶葉の仕上げ工程である「火入れ(加熱)」が強すぎると、カテキン類が酸化・変質することがあります。
「強火仕上げ」で香ばしさを売りにしているものより、「若蒸し」や「浅蒸し」など、茶葉の緑色が鮮やかなものの方が、成分が生きています。
エピガロカテキン生活の実践と注意点
最後に、このスーパーEGCドリンクを生活にどう組み込むか、プロの作法を伝授します。
摂取のベストタイミング:起床時か就寝前か
- 起床時:寝ている間に失われた水分補給とともに、粘膜バリアを起動させるのに最適。
- 就寝前:これが一番のハックです。氷水出しならカフェインがほぼゼロなので、夜飲んでも眠れなくなる心配がありません。寝ている間の免疫メンテナンスにEGCを送り込めます。(※体質によっては寝れない方もいるので注意)
飲み合わせの科学:タンパク質(牛乳)との結合を避ける
「緑茶ラテ」は美味しいですが、EGC摂取の観点からは最悪です。
牛乳に含まれるタンパク質(カゼイン)は、カテキンと強力に結合し、体への吸収を阻害してしまいます。
酸化を防ぐ保存方法:EGCの安定性を保つために
作った水出し(抽出した)緑茶は「生鮮食品(生もの)」だと思ってください。
カテキンは酸化しやすく、茶色がかってくると効果が激減します。
* 保存:必ず冷蔵庫で。
* 期限:24時間以内に飲み切る。色が茶色くなったら、それはもうただの「美味しい水」です。
参考:緑茶の美味しさと機能性を両立する「水出し緑茶」:農林水産省
AFTERWORDS
EGCとEGCGを使い分ける「ハイブリッドな飲茶習慣」
ここまで「EGCGは悪者、EGCが正義」のような書き方をしてきましたが、真の健康オタクは「使い分け」をします。
- 夏場やインフルエンザ流行期、夜間: 「氷水出し緑茶」でEGCを最大化し、免疫のバリアを張る。
- 「氷水出し緑茶」でEGCを最大化し、免疫のバリアを張る。
- 脂っこい食事の後、朝の目覚め: 「熱い緑茶」でEGCGとカフェインを抽出し、脂肪燃焼とシャキッとした覚醒を得る。
- 「熱い緑茶」でEGCGとカフェインを抽出し、脂肪燃焼とシャキッとした覚醒を得る。
一つの茶葉で、淹れ方を変えるだけで全く別の「機能性ドリンク」に変化させる。
これこそが、お茶という植物が持つ奥深さであり、それをコントロールする私たちの楽しみでもあります。
さあ、今すぐ冷蔵庫の氷を全て取り出し、急須にぶち込みましょう。あなたのマクロファージが、今か今かとその一杯を待っています。





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