お茶の渋みの正体「タンニン」とは?
基本をわかりやすく解説
日本茶アドバイザーパトラッシュ♂「このお茶、渋みが効いてて美味しい!」「ちょっと渋すぎるかな…」。お茶を飲むと誰もが感じるこの「渋み」。その正体こそ、この記事の主役であるお茶に含まれるタンニンです。
なんだか難しそうな名前ですが、実は私たちの健康や美容にとって、嬉しい効果がたくさん期待できるスゴい成分。
この記事では、健康志向の方やお茶好きな方に向けて、お茶のタンニンの正体から驚きの効果、上手な付き合い方まで徹底解説します!
そもそもタンニンとは?
ポリフェノールの一種
タンニンとは、植物界に広く存在するポリフェノールの一種で、独特の「渋み」や「苦味」を感じさせる成分の総称です。
ポリフェノールと聞くと、赤ワインやカカオを思い浮かべるかもしれませんが、お茶のタンニンもその頼もしい仲間なのです。
もともと「タンニン(tannin)」という言葉は、動物の皮を丈夫な革製品へと加工する「なめし(tanning)」に使われていたことに由来します。
タンニンにはタンパク質と結合して固める性質があり、この作用が口の中の粘膜のタンパク質と反応することで、私たちは「渋み」として感じているのです。
「タンニン」と「カテキン」はほぼ同じ意味
お茶の話で必ず登場する「カテキン」。ここで多くの人が「タンニンとカテキンって何が違うの?」と混乱してしまいます。
結論から言うと、お茶に含まれるタンニンの主成分がカテキンなので、お茶の世界では「タンニン」≒「カテキン」と考えて差し支えありません。
- タンニン:植物由来の渋み成分の「総称」。働きや性質に基づいた広い呼び名。
- カテキン:お茶に含まれるタンニンの大部分を占める、特定の成分の「名前」。



昔は分析技術が未熟で、渋い成分をまとめて「タンニン」と呼んでいましたが、研究が進み、お茶のタンニンの正体が主にカテキンであることが判明した、という歴史的背景があります。
お茶の種類でこんなに違う!
タンニン含有量比較
緑茶、紅茶、ウーロン茶…これらはすべて同じ「チャノキ」から作られますが、タンニンの含有量や種類は大きく異なります。
その鍵を握るのが、製造工程における「発酵(酸化)」の度合いです。
| お茶の種類 | 発酵度 | タンニン(カテキン)量 | 特徴 |
| 緑茶(煎茶など) | 不発酵 | 多い | 茶葉の成分がそのまま。キレのある渋み。 |
| ウーロン茶 | 半発酵 | 中間 | 緑茶と紅茶の中間。華やかな香りと程よい渋み。 |
| 紅茶 | 完全発酵 | 少ない(変化後) | カテキンが変化し、赤い色素と穏やかな渋みに。 |
タンニンが最も豊富な「緑茶」
タンニン(カテキン)の含有量が最も多いのは、発酵させずに作る「緑茶」です。
摘み取った茶葉をすぐに蒸したり炒ったりして加熱処理することで、酸化酵素の働きを止めます。
これにより、茶葉が元々持っているタンニン(カテキン)が酸化されずにそのまま残るため、含有量が多くなるのです。
特に日光をたっぷり浴びて育った「煎茶」はカテキンが豊富で、そのキリっとした渋みが特徴です。
発酵過程で変化する「紅茶」と「ウーロン茶」
紅茶やウーロン茶は、茶葉をあえて酸化させる「発酵」という工程を経て作られます。
知って得する!お茶のタンニンがもたらす7つの健康効果
お茶のタンニン(カテキン)は、ただの渋み成分ではありません。
まるでスーパーヒーローのように、私たちの健康を多方面からサポートしてくれる驚きのパワーを秘めています。
ここでは、科学的にも注目されている7つの代表的な健康効果を見ていきましょう。
- 老化や生活習慣病を予防する「抗酸化作用」
- 感染症対策に「抗菌・抗ウイルス作用」
- ダイエットの味方「脂肪の吸収抑制」
- 食後の血糖値上昇を穏やかに
- コレステロール値の改善をサポート
- 気になるニオイを抑える「消臭効果」
- 腸内環境を整える「整腸作用」
効果1:老化や生活習慣病を予防する「抗酸化作用」
私たちの体は、呼吸するだけで発生する「活性酸素」によって日々サビついています。
この活性酸素は、老化や様々な生活習慣病の原因とされています。
タンニンには、この活性酸素の働きを抑える強力な「抗酸化作用」があり、体の内側から若々しさを保つ手助けをしてくれます。
効果2:感染症対策に「抗菌・抗ウイルス作用」
タンニンは、食中毒の原因菌やインフルエンザウイルスなど、様々な細菌やウイルスの増殖を抑える働きが報告されています。
お茶でうがいをするという昔ながらの知恵は、この作用に基づいた理にかなった習慣なのです。
効果3:ダイエットの味方「脂肪の吸収抑制」
ダイエット中の方に朗報です!タンニン(カテキン)には、食事に含まれる脂肪の吸収を穏やかにし、体脂肪の燃焼を促進する効果が期待されています。
多くの特定保健用食品(トクホ)のお茶に活用されているのも、この働きが認められているからです。
効果4:食後の血糖値上昇を穏やかに
食事で摂取した糖は、酵素によって分解され吸収されます。
タンニンには、この糖を分解する酵素の働きをブロックし、食後の血糖値の急上昇を緩やかにする効果が報告されています。
食事と一緒にお茶を飲むことは、理にかなった健康習慣と言えます。
効果5:コレステロール値の改善をサポート
血液中の悪玉(LDL)コレステロールは、増えすぎると動脈硬化のリスクを高めます。
タンニン(カテキン)には、この悪玉コレステロールの上昇を抑える働きがあることが研究で示されており、血液サラサラをサポートします。
効果6:気になるニオイを抑える「消臭効果」
ニンニク料理や焼き肉の後に緑茶を飲むと、口の中がさっぱりしますよね。
これは、タンニンがニオイの元となる成分と直接くっついて分解してくれる「消臭効果」のおかげ。
口臭予防にも効果的です。
効果7:腸内環境を整える「整腸作用」
健康のバロメーターである腸内環境。タンニンは、腸内の悪玉菌を減らし、善玉菌を増やすことで腸内フローラのバランスを整えるのを助けます。
お腹の調子を整え、内側からスッキリしたい方にもおすすめです。
タンニン摂取の注意点とデメリット
多くのメリットがあるタンニンですが、摂取する際には少しだけ気をつけておきたいポイントもあります。上手な付き合い方を知っておきましょう。
- 鉄分の吸収を妨げる可能性
- 便秘や胃への影響
- 歯の着色(ステイン)の原因に
鉄分の吸収を妨げる可能性
タンニンは、食事に含まれる鉄分(特に植物性食品由来の非ヘム鉄)と結合し、体への吸収をやや妨げてしまうことがあります。
対策:貧血気味の方や鉄剤を服用している方は、食事中や食後すぐの濃いお茶は避け、食事と1時間ほど時間を空けて飲むのがおすすめです。



動物性食品由来のヘム鉄とは結合しないので、レバー肉などと摂取するのもオススメです。
便秘や胃への影響
タンニンの収れん作用(引き締める作用)により、人によっては便が硬くなることがあります。
また、空腹時に濃いお茶をたくさん飲むと、胃に負担を感じることも。
対策:胃腸がデリケートな方は、空腹時を避け、一度に大量に飲むのは控えるようにしましょう。
歯の着色(ステイン)の原因に
毎日お茶を飲んでいると気になるのが歯の黄ばみ。
これは、タンニンが歯の表面のタンパク質と結びついてできる「ステイン」という着色汚れが原因です。
- お茶を飲んだ後に水で口をゆすぐ習慣をつける。
- ステイン除去効果のある歯磨き粉で丁寧にブラッシングする。
- 定期的に歯科医院でクリーニングを受ける。
健康的にお茶を楽しむためのQ&A
タンニンの知識を深めたところで、毎日のティーライフに役立つQ&Aを見ていきましょう。
Q1. 1日の摂取量の目安は?
カテキンの健康効果を期待する場合、1日に500mg以上の摂取が推奨されることがあります。
これは一般的な湯呑みで5〜10杯程度に相当しますが、カフェインも含まれるため、体質に合わせて調整することが大切です。
まずは1日数杯から、食事や休憩時間に取り入れてみましょう。
Q2. 渋みを抑えて美味しく飲む方法は?
お茶の渋みは淹れ方次第でコントロールできます。
タンニンは高温で溶け出しやすいため、渋みを抑えたい場合は以下の方法がおすすめです。
- ぬるめのお湯で淹れる: 旨味成分(テアニン)は低温で、渋み成分(タンニン)は高温で出やすくなります。70〜80℃くらいのお湯で淹れると、バランスの良い味わいになります。
- 水出し・氷出しにする: 時間はかかりますが、タンニンの抽出が抑えられ、驚くほど甘みと旨味が際立ったまろやかなお茶になります。
Q3. タンニンが少ないお茶はある?
渋みが苦手な方や、タンニンの摂取を控えたい時には、以下のお茶がおすすめです。
AFTERWORD
お茶の渋みの正体である「タンニン」は、私たちの健康を多角的にサポートしてくれるポリフェノールの一種です。
その正体は主に「カテキン」であり、特に緑茶に豊富に含まれています。
抗酸化作用からダイエットサポート、生活習慣病予防まで、その恩恵は計り知れません。
鉄分の吸収阻害や歯の着色といった注意点もありますが、飲むタイミングや淹れ方を少し工夫するだけで、上手に付き合っていくことができます。
ぜひ、この記事を参考に、タンニンのパワーを味方につけて、あなたの毎日をもっと豊かで健康的なものにしてください。
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