抹茶スイーツや抹茶ラテ、美味しいですよね!
でも、いざ自分で作ろうとスーパーに行くと、「加工用抹茶」や「製菓用抹茶」といった商品が並び、「飲用の抹茶と何が違うの?」「お菓子作りにはどれを選べばいいの?」と悩んでしまった経験はありませんか?
この記事では、そんなあなたの疑問を解決します!
加工用抹茶と飲用の違いから、用途に合わせた最適な選び方、初心者でも失敗しない人気レシピまで、徹底的に解説します。
これを読めば、あなたも自信を持って抹茶を選べる「おうち抹茶マスター」になれること間違いなしです!
加工用抹茶と飲用抹茶の5つの主な違い
「抹茶なんて、どれも同じ緑色の粉でしょ?」
と思ったら大間違い!
実は、茶道でいただくような「飲用抹茶」とお菓子作りに使う「加工用抹茶」は、全くの別物です。

例えるなら、F1マシンとファミリーカー。どちらも同じ「車」ですが、目的も性能も価格も全く異なります。
この5つの違いを知れば、あなたのお菓子作りやドリンク作りが格段にレベルアップしますよ。
- 価格
- 色や香り、風味
- 栽培・製造方法
- 用途
- 粒子の細かさ
①:価格の違い
まず最も分かりやすいのが価格の違いです。
飲用の抹茶、特に茶道で使われる高級品は、30gで数千円することも珍しくありません。
一方、加工用抹茶は比較的リーズナブルな価格帯で手に入ります。
種類 | 価格帯の目安 (20gあたり) | 特徴 |
飲用抹茶(高級品) | 2,000円~ | 旨味と香りが格別。特別な日に味わいたい「飲む芸術品」。 |
飲用抹茶(普段用) | 1,000円~2,000円 | 毎日のお茶や、風味を重視するお菓子作りに。 |
加工用抹茶 | 500円~1,000円 | お菓子やドリンクに惜しみなく使える、お財布の頼れる味方。 |
この価格差は、次に解説する色や風味、そして栽培・製造方法の違いから生まれます。
②:色や香り、風味の違い
飲用抹茶は、旨味成分「テアニン」が豊富で、苦味や渋みが少なく、まろやかで上品な甘みが特徴です。
色も鮮やかな緑色で、「覆い香(おおいか)」と呼ばれる特有の豊かな香りを楽しめます。
一方、加工用抹茶は、砂糖やバター、牛乳など他の材料と合わせたときに抹茶の風味が消えてしまわないよう、あえて苦味や渋みをしっかり残して作られています。
香りは飲用に比べると控えめですが、加熱しても風味が飛びにくいように工夫されているのです。
- 飲用抹茶: そのままの繊細な味と香りを楽しむ「主役」
- 加工用抹茶: 他の素材と調和して魅力を引き出す「名脇役』
このように、それぞれの役割が明確に異なります。
③:栽培・製造方法の違い
抹茶の原料となる「碾茶(てんちゃ)」は、収穫前に日光を遮る「覆下栽培」で育てられます。これにより、旨味成分が増え、苦味成分が抑えられます。
高級な飲用抹茶には、この覆下栽培を長期間行い、丁寧に手摘みされた新芽(一番茶)だけが使われます。
そして、伝統的な石臼でゆっくり挽くことで、風味を損なわないきめ細かな粉末になるのです。
対して加工用抹茶には、二番茶や三番茶が使われたり、栽培方法や製造工程を効率化したりすることで、コストを抑えています。これが、お菓子作りに使いやすい価格の秘密です。
④:用途の違い
それぞれの特性から、当然ながら用途もはっきりと分かれています。
飲用抹茶:主に茶道のお点前や、お湯に溶かしてそのまま飲むために使われます。繊細な風味をダイレクトに味わうのが醍醐味です。
加工用抹茶:ケーキ、クッキー、アイスクリーム、抹茶ラテなど、幅広い食品の「材料」として活躍します。熱を加えたり、他の風味の強い食材と混ぜたりすることが前提です。
⑤:粒子の細かさの違い
飲用抹茶は石臼で挽かれるため、粒子が非常に細かく、ダマになりにくく滑らかな口当たりです。
加工用抹茶も細かい粉末ですが、製品によっては飲用のものより少し粒子が粗い場合があります。
しかし、製菓用に作られたものは生地に混ざりやすいよう工夫されています。
どちらのタイプでも、お菓子作りで使う際は一度ふるいにかけることで、より均一で綺麗な仕上がりになります。



もちろん栄養価の高い飲用の抹茶の方が、少しの量でもしっかりと濃厚なコクと味が楽しめる上、スイーツに使えばもっと美味しく楽しめます。
加工用抹茶の選び方|お菓子作りやドリンクに最適なのは?
「加工用抹茶の違いは分かったけど、結局どれを選べばいいの?」そんなあなたのために、目的別に最適な加工用抹茶の選び方をご紹介します。ポイントは「何に使うか」を明確にすることです。
用途で選ぶ
まずは作りたいものに合わせて抹茶を選びましょう。
抹茶は熱や光にデリケートなので、用途に合ったものを選ぶことが成功への近道です。
焼き菓子(クッキー、ケーキなど)
クッキーやパウンドケーキ、シフォンケーキなどの焼き菓子には、加熱しても色や風味が飛びにくい、苦味や香りがしっかりしたタイプがおすすめです。
焼き菓子にすると抹茶の存在感が弱まりがちなので、少しパンチの効いた抹茶を選ぶと、焼き上がり後も濃厚な抹茶感を堪能できます。
ドリンク(抹茶ラテなど)
牛乳や豆乳と混ぜて抹茶ラテを作る場合は、溶けやすく、ミルクのコクに負けない風味を持つタイプが良いでしょう。
甘みを加えて飲むことが多いため、適度な苦味がある抹茶を選ぶと、全体の味のバランスが引き締まります。
そのまま使う(クリーム、トッピングなど)
ティラミスのクリームに混ぜたり、アイスに振りかけたりと、加熱せずに使う場合は、色の鮮やかさと風味を重視して選びましょう。
少し贅沢に、飲用の抹茶を使ってみるのも一つの手です。
抹茶本来の美しい緑色と豊かな香りが、スイーツをワンランク上の仕上がりにしてくれます。
産地で選ぶ(宇治、西尾など)
抹茶の二大産地といえば、京都の「宇治抹茶」と愛知の「西尾抹茶」です。
それぞれの特徴を知って、好みに合わせて選んでみましょう。
産地 | 特徴 | イメージ |
宇治(京都府) | 上品な香りと旨味、まろやかな味わい。歴史とブランド力に裏打ちされた品質。 | 「伝統と品格の京美人」 |
西尾(愛知県) | 緑色が濃く、濃厚なコクと力強い風味。食品加工用の原料として高いシェアを誇る。 | 「親しみやすく頼りになる元気っ子」 |
上品な風味を活かしたいなら宇治、濃厚な抹茶感を前面に出したいなら西尾、といったように、作りたいお菓子のイメージに合わせて使い分けるのがおすすめです。
内容量と価格のバランスで選ぶ
加工用抹茶は、30g程度の少量パックから業務用の大容量サイズまで様々です。
まずは少量サイズでいくつか試してみて、お気に入りを見つけるのが良いでしょう。
頻繁にお菓子作りをするなら、コスパの良い大容量サイズを選ぶとお得です。
抹茶の風味を損なわないための正しい保存方法
せっかくの抹茶も、保存方法を間違うと風味や色が劣化してしまいます。
抹茶は非常にデリケートで、【湿気・光・熱・移り香】が最大の敵です。
正しい保存方法で、最後まで美味しく使い切りましょう。
開封前の保存方法
未開封の場合は、パッケージの指示に従うのが基本ですが、冷蔵庫または冷凍庫での保存が品質を長持ちさせるのにおすすめです。
開封後の保存方法
開封後は、とにかく湿気と空気に触れさせないことが最重要です。
- 袋の空気をしっかり抜き、クリップや輪ゴムで口を固く縛る。
- 光を通さない密閉容器(茶筒など)に入れる。匂い移りを防ぐため、他の食品とは離しましょう。
- 冷蔵庫で保存し、開封後は1ヶ月程度を目安に早めに使い切るのが理想です。
【最重要ポイント】:冷蔵庫から出した抹茶をすぐに開封するのはNG!
温度差で結露が発生し、湿気で抹茶が固まる原因になります。
必ず、容器ごと常温に15~30分ほど置いて、室温に戻してから開封してください。
AFTERWORD
加工抹茶を使いこなして、おうち抹茶ライフをもっと豊かに!
今回は、加工用抹茶について、飲用との違いから選び方、保存方法まで詳しくご紹介しました。
- 加工用抹茶は、お菓子やドリンクでこそ真価を発揮する「名脇役」。
- 作るものに合わせて「風味の強さ」「色の鮮やかさ」などを基準に選ぶのがコツ。
- 保存は「低温・密閉・遮光」が鉄則。使うときは常温に戻すのを忘れずに。
これらのポイントを押さえれば、あなたも立派な「おうち抹茶マスター」です。
ぜひ、この記事を参考に加工用抹茶を使いこなし、お菓子作りやドリンク作りを楽しんでください。
あなたの抹茶ライフが、もっと豊かで美味しくなることを願っています!
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