なぜお茶を飲むとリラックスできるの?その秘密は「テアニン」
「あー、もう無理!」と叫びたいとき、なぜか無意識に湯呑みへ手が伸びる…。
そんな経験はありませんか?
日本人にとって、お茶を飲む時間は心安らぐひとときです。
この不思議なリラックス効果の裏には、お茶に含まれる「テアニン」という成分の活躍があります。
今回は、お茶が好きなあなたにこそ知ってほしい、このテアニンについて、お茶との関係性をユーモアたっぷりに解き明かしていきます。
まるで敏腕マネージャーのように、私たちの心と体を絶妙にサポートしてくれるテアニンの正体に迫りましょう。
テアニンとは?お茶特有の旨みと甘みの正体
テアニンとは、お茶に含まれるアミノ酸の一種で、上品な「旨み」と「甘み」を生み出す主成分です。
実はこのテアニン、チャノキなどごく一部の植物にしか含まれていない、いわば”選ばれし”スペシャル成分なのです。
お茶の木は、根っこでせっせとテアニンを作り出します。
そして、葉が太陽の光を浴びると、このテアニンが渋み成分である「カテキン」へと変化します。
つまり、高級茶の代名詞である玉露のように、あえて日光を遮って育てるお茶は、テアニンがカテキンに変化するのを防ぎ、旨み成分を葉にぎゅっと閉じ込めているのです。

テアニンは緑茶にしか含まれない?
「テアニンといえば緑茶」というイメージが強いかもしれませんが、紅茶やウーロン茶など、同じチャノキから作られるお茶には基本的にすべて含まれています。
ただし、その含有量は栽培方法や加工方法によって大きく変わります。
旨みを重視する緑茶、特に玉露や抹茶はテアニンが豊富ですが、発酵させて作る紅茶は、製造過程でテアニンが変化するため含有量は少なめです。
とはいえ、紅茶にもリラックス効果を感じられるだけのテアニンは含まれていますので、ご安心を。
お茶好きなら知っておきたい!テアニンの嬉しい効果
テアニンは、単にお茶の味を良くするだけではありません。私たちの心と体に嬉しい、まるでスーパーヒーローのような効果をたくさん持っているのです。
- 脳波に働きかける心地よいリラックス効果
- 睡眠の質をサポート
- 集中力を高める働き
- カフェインの作用を穏やかに
1. 脳波に働きかける心地よいリラックス効果
テアニンを摂取すると、脳内でリラックスしている時に出現する「α波」が増えることが研究でわかっています。
これは、脳のスイッチを「お疲れモード」から「ご機嫌なリラックスモード」へ切り替えてくれるようなもの。
ストレス社会で戦う現代人にとって、これほど心強い味方はいません。
2. 睡眠の質をサポート
「夜にお茶を飲むと眠れない」というのはカフェインの影響を心配してのこと。
しかし、テアニン自体には、むしろ睡眠の質を高める効果が期待されています。
「夜更かしスマホ」で疲れた脳を優しく寝かしつけ、スムーズな入眠をサポートしてくれるのです。
研究では、中途覚醒を減らし、起床時の爽快感を高めることも報告されています。
3. 集中力を高める働き
リラックスと聞くと眠気を誘うイメージがありますが、テアニンは一味違います。
リラックスはさせつつも、集中力はむしろ高めてくれるという、非常に優秀な成分なのです。
不要な緊張をほぐし、心を落ち着かせることで、仕事や勉強へのパフォーマンス向上を助けます。
4. カフェインの作用を穏やかに
緑茶には興奮作用のあるカフェインも含まれていますが、コーヒーほどシャキーン!としないのはなぜでしょう?
その秘密は、テアニンがカフェインの興奮作用をマイルドにしてくれるから。
まるで「暴れん坊のカフェイン」を「穏やかなテアニン」が優しくなだめてくれるような、絶妙なコンビネーションがお茶の魅力なのです。
【種類別】お茶のテアニン含有量ランキング
どうせ飲むなら、テアニンを効率的に摂取したいですよね。ここでは、お茶の種類別にテアニン含有量をランキング形式でご紹介します!
- 第1位:玉露
- 第2位:抹茶(碾茶)
- 第3位:かぶせ茶
【早見表】お茶の種類別テアニン含有量の目安(湯呑み1杯80mlあたり)
お茶の種類 | テアニン含有量(目安) | 特徴 |
抹茶 | 約40mg | 茶葉を丸ごと飲むため成分を無駄なく摂取 |
玉露 | 約34mg | 濃厚な旨みと甘みが特徴の高級茶 |
かぶせ茶 | 約20mg | 煎茶と玉露のいいとこ取り |
煎茶(上級) | 約10mg | 日常的に楽しめるバランスの取れた味わい |
番茶/ほうじ茶 | 約3mg | カフェインが少なくさっぱりとした飲み口 |
※数値はあくまで目安です。茶葉の品質や淹れ方によって変動します。
第1位:玉露
堂々の第1位は、高級茶の代名詞「玉露」。
収穫前に約20日間も日光を遮る「被覆栽培」によって、旨み成分テアニンがたっぷりと蓄えられます。
その含有量は一般的な煎茶の数倍とも言われ、まさに「テアニンの王様」です。

第2位:抹茶(碾茶)
玉露と同じく、日光を遮って育てられた「碾茶(てんちゃ)」を丸ごと石臼で挽いたのが抹茶です。
茶葉をそのまま飲むため、テアニンをはじめとするお茶の栄養を余すことなく摂取できるのが最大の強みです。

第3位:かぶせ茶
玉露よりも短い期間(約1週間~10日)、日光を遮って栽培されるのが「かぶせ茶」。煎茶の爽やかさと玉露の濃厚な旨みを“いいとこ取り”したようなお茶で、日常的にテアニンを摂取したい方におすすめです。

お茶のテアニンを最大限に引き出す淹れ方
せっかくの良いお茶も、淹れ方次第で味わいが大きく変わります。ちょっとしたコツで、いつものお茶からテアニンの旨みを最大限に引き出しましょう。
低めの温度でじっくりと抽出する
テアニンの旨みを引き出す最大のポイントは「お湯の温度」です。
- テアニン(旨み):50℃程度の低温でもよく溶け出す
- カテキン(渋み):80℃以上の高温で溶け出しやすい
つまり、一度沸騰させたお湯を60℃前後のぬるめまで冷ましてから淹れることで、渋みを抑え、テアニンの豊かな旨みと甘みを存分に楽しむことができます。
玉露を淹れる際は、ぜひこの「ぬるめのお湯でじっくり」を試してみてください。
水出しもおすすめ
テアニンの効果を最大限に引き出す裏ワザが「水出し」です。
時間をかけて低温で抽出することで、渋み成分のカテキンはほとんど出さずに、テアニンの旨みだけを贅沢に抽出できます。作り方は簡単。
ポットに茶葉と水を入れて、冷蔵庫で数時間置くだけ。驚くほど甘くてまろやかな、極上のリラックスティーが完成します。
テアニンに関するQ&A
Q1. テアニンの摂取量の目安は?
研究では、1日に200mgのテアニンを摂取することで、リラックス効果や睡眠の質の改善効果が報告されています。
これを玉露で摂取するなら5〜6杯程度が目安になります。
まずは毎日お茶を飲む習慣をつけ、リラックスしたい時や集中したい時など、目的に合わせて玉露や抹茶を選ぶのが良いでしょう。
Q2. テアニンに副作用はある?
テアニンは、お茶として通常の範囲で飲む限り、副作用の心配はほとんどないとされています。
食品安全委員会においても、テアニンの安全性は評価されています。
ただし、サプリメントで多量に摂取する場合や、特定の薬(血圧の薬や興奮剤など)を服用中の方は、念のため医師に相談することをおすすめします。
AFTERWORD
いつものお茶で、心と体を整えよう
何気なく飲んでいた一杯のお茶に、これほど頼もしい「テアニン」という応援団がいたとは、驚きですよね。
お茶とテアニンの関係性を知ることで、いつものティータイムがもっと豊かで楽しいものになるはずです。
リラックスしたい時、集中したい時、そしてぐっすり眠りたい時。
私たちの日常の様々なシーンに、お茶はそっと寄り添ってくれます。
ぜひ、今日のティータイムから「テアニン」を意識して、心と体を優しく整えてみてはいかがでしょうか。
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] 日光を遮ることで、茶葉の中で起こる「うまみ成分(テアニン)→渋み成分(カテキン)」という化学変化が抑制されます。 […]
[…] 「やぶきた」最大の特徴は、旨味・甘み成分である「テアニン」と、爽やかな渋み成分である「カテキン」のバランスが非常に優れている点です。 […]