玄米茶とは?
基本情報
香ばしい香りとさっぱりとした味わいで、多くの人に愛されている「玄米茶」。

端的に言うと、「香ばしい玄米入りの緑茶」です。
玄米茶とは、炒った玄米と緑茶(主に煎茶)をブレンドしたお茶です。
- 味・香り:香ばしい玄米の風味と、緑茶のさっぱりした味わいが特徴
- 特徴:カフェインが少なめで飲みやすく、食事にも合う
- 製法:玄米を軽く炒って香ばしさを出し、緑茶と混ぜて作る
また、お寿司屋さんでは「あがり」として親しまれ、日本人にとっては非常に身近なお茶の一つです。



だがしかし!玄米茶の世界はあなたが思っているよりもずっと奥深く、一度ハマると抜け出せない、知的好奇心をくすぐる「沼」が広がっています。
この記事では、そんな玄米茶の基本から、お茶好きも唸るマニアックな知識、そしてその魅力を120%引き出す秘訣まで、ユーモアを交えて余すところなくご紹介します。さあ、香ばしい探求の旅へ出発しましょう!
玄米茶の歴史と誕生秘話
もったいない精神が生んだお茶
今では当たり前のように飲まれている玄米茶ですが、その誕生には、日本ならではの「もったいない精神」が深く関わっています。
有力な説の一つが、昭和初期の京都での出来事です。
鏡開きの際に砕けてしまったお餅を「このまま捨てるのはもったいない」と考えた茶商が、試しに炒ってお茶に混ぜてみたところ、驚くほど香ばしく美味しいお茶が誕生した、というものです。
また別の説では、流通の過程で傷がついてしまった茶葉に、くず米を混ぜて量を増やし、香ばしさで風味を補って販売したのが始まりとも言われています。



どちらの説も、物を大切にする心から生まれた、まさにサステナブルな発想の飲み物。それが玄米茶なのです。
「玄米茶」なのに玄米じゃない?知られざる原料の事実
「玄米茶」という名前を聞いて、当然原料は「玄米」だと思っていませんか?
実は、市販されている多くの玄米茶で使われているのは、玄米ではなく「白米(うるち米)」がおおいようです。
これにはちゃんとした理由があります。
玄米のままだと、表面を覆う糠(ぬか)の油分が酸化しやすく、お茶の風味が落ちるのが早くなってしまいます。
そこで、一度蒸してから乾燥させた白米を強火で炒ることで、キツネ色の香ばしい香り成分を安定して引き出し、玄米茶特有のあの魅力的な風味を作り出しているのです。
もちろん、製品によっては本物の玄米や、ポップコーンのような香りと甘みが特徴の「もち米」が使われていることもあります。



ただ白米と玄米は全く別のお米だと思っていらっしゃる方も多いのですが、元を辿ればどちらも同じ「うるち米」!
米粒の表皮やぬか層が残っている分、ビタミンやミネラル・食物繊維など栄養素においては玄米の方が評価は高くなります。
【お茶オタク向け】玄米茶の深掘り解説
さて、ここからはお茶好きの皆さんお待ちかねの深掘りタイムです。玄米茶の味わいを決定づける「茶葉」と「米」、そしてその無限の「組み合わせ」の世界を覗いてみましょう。
茶葉へのこだわり:煎茶・番茶・玉露で変わる味わい
玄米茶のベースとなるお茶は、実は一種類ではありません。どの茶葉を使うかによって、味わいは劇的に変化します。
ベースの茶葉 | 特徴 | こんなシーンにおすすめ |
煎茶 | 最も一般的。爽やかな渋みと旨味があり、玄米の香ばしさとのバランスが絶妙。 | 毎日の食後やリフレッシュしたい時に。 |
番茶 | さっぱりとしてクセがなく、カフェインも少なめ。ゴクゴク飲める軽やかさが魅力。 | 食事中のお茶や、就寝前のリラックスタイムに。 |
ほうじ茶 | 茶葉自体も焙煎しているため、香ばしさが倍増。W(ダブル)の焙煎香が楽しめる。 | とにかく香りに癒されたい時に。 |
かぶせ茶・玉露 | 高級茶葉の代表格。日光を遮って育てるため、渋みが少なく旨味成分(テアニン)が豊富。上品でまろやかな味わい。 | 特別な日のおもてなしや、大切な人への贈り物に。 |
このように、ベースの茶葉を変えるだけで、玄米茶は全く違う表情を見せます。
いつもの玄米茶に慣れたら、ぜひ玉露ベースの高級玄米茶などにも挑戦してみてください。



玄米茶もお茶屋さんによって多種多様なものがあるので、玄米だけ購入して自分の好きなお茶にオリジナルでブレンドするのもあり!
オススメは玄米を使うなら静岡の一番茶でのブレンドを推したい!
米への探求:米の種類と焙煎が生む香りの違い
玄米茶のもう一つの主役である「米」。こちらも種類や加工方法によって、香りと味わいに大きな違いが生まれます。
- うるち米
最もポピュラー。安定した香ばしい香りを生み出し、玄米茶の王道ともいえる風味を作ります。 - もち米
炒るとパフ状に膨らみ、ポップコーンのような香ばしさと強い甘みが特徴。「花」と呼ばれることもあります。 - 古代米(黒米、赤米など)
ポリフェノールなどの栄養素が豊富。独特の風味と香ばしさが加わり、健康志向の方に人気です。



古代米は残念ながら試したことがありませんが、1番茶など品質の良いお茶の味を楽しむのであれば、うるち米!番茶などに合わせるなら餅米かなぁって印象です。
- 浅煎り: 米本来の甘みや旨味が感じられる、フレッシュな香り。
- 深煎り: 焙煎香が強く、ビターで香ばしい力強い味わい。コーヒーのような風味も感じられます。
お米の種類や焙煎度合いにこだわった商品も増えています。自分の好みの香りがどの米から来ているのかを探求するのも、玄米茶の楽しみ方の一つです。
多様性の世界:抹茶入りから黒豆ブレンドまで
玄米茶は、他の素材とのブレンドによってもその可能性を無限に広げています。
- 抹茶入り玄米茶
- 黒豆ブレンド
- とうもろこし
- ハーブ(レモングラスなど)
- スパイス(生姜など
抹茶入り玄米茶
今や定番となった大人気のブレンド。
抹茶の鮮やかな緑色と深い旨味が、玄米の香ばしさと絶妙にマッチします。
まろやかさが加わり、よりリッチな味わいになるのが特徴です。



抹茶が痛みやすいのがネック!
黒豆ブレンド
黒豆(黒大豆)をブレンドしたもの。黒豆特有の香ばしさとほのかな甘みが加わり、より一層深みのある味わいになります。健康を意識する方々からも熱い支持を得ています。



ここだけの話、20年前ぐらいにこれ試したことあるんですけど、自分黒豆ブレンドはパイオニアだと思ってます笑
とうもろこしブレンド
自然な甘みが加わり、お子様にも飲みやすい優しい味わいに。
ハーブ(レモングラスなど)ブレンド
爽やかな香りがプラスされ、気分をリフレッシュしたい時にぴったり。
スパイス(生姜など)ブレンド
体を温めたい時や、エキゾチックな風味を楽しみたい時に。



こんな感じでいろんな物とマッチングしやすい玄米茶!
これらのブレンドは、玄米茶の新たな魅力を引き出し、飲むシーンや気分に合わせて選ぶ楽しみを提供してくれます。
玄米茶のポテンシャルを120%引き出す淹れ方
せっかくの玄米茶、どうせなら一番美味しい状態で飲みたいですよね。
ここでは、玄米茶の香りを最大限に引き出す淹れ方をご紹介します。難しいことはありませんので、ぜひ試してみてください。
基本の淹れ方:香りを立たせる高温抽出
玄米茶の命である「香ばしい香り」。この香りの成分は高温で抽出されやすい性質を持っています。
そのため、玉露や美味しい煎茶のように湯冷ましをする必要はなく、沸騰したてのお湯を使うのが最大のポイントです。
【香りを引き出す基本ステップ】
水道水を使う場合は、カルキ臭を抜くため3〜5分沸騰させ続けます。
急須に茶葉を入れます。(1人分ティースプーン2杯・約7g〜10gが目安)
※玄米が重いからいつもの煎茶の目分量でも7g程度入ります
沸騰したてのお湯(95℃〜100℃)を急須に勢いよく注ぎます。
蓋をして30秒ほど待ちます。抽出時間を短くすることで、渋みを抑え、香りを際立たせることができます。
複数の湯呑に注ぐ場合は、少しずつ均等になるように往復させながら注ぎ分け(廻し注ぎ)、最後の一滴まで絞り切ります。
二煎目以降の楽しみ方
一煎目で香りを存分に楽しんだ後は、味わいの変化を楽しみましょう。
- 二煎目: 一煎目と同じく熱湯を注ぎ、蒸らし時間は待たずにすぐ(10秒以内)に注ぎます。
茶葉が開いているため、すぐに味が出ます。緑茶本来の旨味や渋みが顔を出し始めます。 - 三煎目: さらにさっぱりとした味わいになるので、食事中のお茶としても最適です。
上級編:水出し玄米茶のススメ
「玄米茶は熱いお茶」という常識を覆すのが「水出し玄米茶」です。
水でじっくりと抽出することで、熱湯で淹れた時とは全く違う魅力が引き出されます。
【驚くほどまろやか!水出し玄米茶の作り方】
冷水ポット、茶葉(水1リットルに対し10g〜15gが目安)、水
ポットに茶葉と水を入れます。
冷蔵庫で3〜6時間ほど置いて、じっくり抽出します。
茶葉を濾(こ)したら完成。
お好みの濃さになったら茶葉を取り出しましょう。
水出しにすることで、カフェインやカテキン(渋み成分)の抽出が抑えられ、旨味成分であるテアニンが際立ちます。
その結果、ゴクゴク飲める、驚くほどまろやかで甘みのある味わいに。
夏の暑い日や、カフェインを控えたい時にぜひお試しください。



最初に少しだけお湯で抽出してあえてカテキン等を抽出してから水で伸ばすと爽やかさが増すのでそっちもオススメ!
知って得する玄米茶の効能と成分
美味しいだけでなく、私たちの体に嬉しい効果が期待できる成分が含まれているのも玄米茶の魅力です。
カフェインは多い?少ない?他のお茶との比較
玄米茶は、茶葉と炒り米がブレンドされているため、同じ量の茶葉を使う他のお茶に比べてカフェインの含有量が少なくなります。
【飲み物別カフェイン含有量(100mlあたり)の目安】
飲み物の種類 | カフェイン含有量(目安) |
コーヒー | 約60mg |
紅茶 | 約30mg |
煎茶 | 約20mg |
玄米茶 | 約10mg |
※抽出条件により変動します。



表からもわかるように、玄米茶のカフェイン量はコーヒーや紅茶と比べてもかなり少なめ。そのため、お子様やご年配の方、カフェインが気になる方でも比較的安心して楽しむことができます。
リラックス効果とGABAの働き
玄米茶を飲むとホッとするのは、香ばしい香りだけでなく、含まれる成分にも理由があります。
仕事の合間のリフレッシュや、一日の終わりのリラックスタイムに、玄米茶はぴったりの一杯と言えるでしょう。
生活習慣病予防や美肌効果も?
玄米茶には、他にも健康や美容に役立つとされる成分が含まれています。
- カテキン: 緑茶の渋み成分。強い抗酸化作用を持ち、血圧や血糖値の上昇抑制、体脂肪を減らす効果などが知られています。
- ビタミンE: 「若返りのビタミン」とも呼ばれ、強い抗酸化作用で細胞の老化を防ぎ、美肌をサポートします。



これらの成分が複合的に働くことで、生活習慣病の予防やアンチエイジングへの貢献が期待できます。もちろん、玄米茶は薬ではないため、バランスの取れた食事や健康的な生活習慣を心がけることが大切です。
あなたにぴったりの玄米茶の選び方
多種多様な玄米茶の中から、あなたのライフスタイルや目的に合った一品を見つけるためのヒントをご紹介します。
日常使いにはティーバッグや大容量タイプ
毎日気兼ねなくゴクゴク飲みたい方には、手軽で経済的なティーバッグタイプや、大容量の茶葉がおすすめです。
- ティーバッグ: 急須いらずで後片付けも簡単。オフィスでの一息にも最適です。最近は茶葉がしっかり開く三角(テトラ)型のティーバッグも増え、本格的な味わいが楽しめます。
- 大容量タイプ: 500gや1kgといったサイズも。家族みんなで飲むご家庭や、消費量が多い方にはコストパフォーマンスが高くおすすめです。



テトラバックのものはかなりオススメ!大容量タイプのものを選ぶ際は、茶葉が煎茶以上の物を選ぶと抽出量もUPしてさらにコスパが良くなるぞ!
贈り物や特別な日には高級茶葉使用のものを
大切な方へのギフトや、自分へのご褒美には、素材にこだわったワンランク上の玄米茶を選んでみてはいかがでしょうか。
- 玉露やかぶせ茶ベース: 上品な旨味とまろやかさが特徴。普段飲んでいる玄米茶との違いに驚くはずです。
- 希少米・産地米使用: こだわりの契約農家が作ったお米や、古代米などを使用したものは、特別な香りと味わいが楽しめます。
- 有名産地の茶葉: 宇治、八女、静岡など、有名茶産地の茶葉を使用したものは、その土地ならではの個性が光ります。
美しい和紙の茶筒に入ったものなど、パッケージにこだわって選ぶのも楽しい時間です。



古代米などの希少米を使ったものは私も飲んだことがないので、見つけたら飲んでみたいです!
カフェインを控えたい方向けの選び方
妊娠中や授乳中の方、就寝前にお茶を楽しみたいなど、カフェインが気になる場合は、以下のポイントで選ぶのがおすすめです。
- ほうじ茶ベースの玄米茶: ほうじ茶は焙煎過程でカフェインが飛ぶため、もともとカフェインが少なめです。
- 番茶ベースの玄米茶: 成熟した葉や茎を使う番茶も、新芽を使う煎茶に比べてカフェインが少ない傾向にあります。
- カフェインレス(デカフェ)玄米茶: カフェインを90%以上除去した商品も販売されています。
- 水出しで淹れる: 前述の通り、水出しにすることでカフェインの抽出量を大幅に抑えることができます。



一般的によく販売されているのが番茶ベース!見つけすいと思います。
AFTERWORD
何気なく飲んでいた玄米茶が、実は「もったいない精神」から生まれたサステナブルな飲み物であり、茶葉と米の組み合わせで無限の表情を見せる、非常に奥深い世界を持っていたことをお分かりいただけたでしょうか。
香ばしい香りで私たちを癒してくれるだけでなく、カフェインが少なく体に優しい成分も含まれている玄米茶は、まさに日常に寄り添う万能茶です。
- 高温で淹れて、立ち上る香ばしさを楽しむ。
- 水出しで淹れて、まろやかな甘みを味わう。
- 抹茶入りや黒豆ブレンドで、新しい風味に出会う。
その日の気分やシーンに合わせて、あなただけのお気に入りの一杯を見つける旅は、きっと楽しいものになるはずです。さあ、あなたも今日から、香ばしくて奥深い「玄米茶沼」に、どっぷりと浸かってみませんか?
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